平成21年5月15日 日刊建設通信新聞
地域要件「本店縛り」求める声
行き過ぎの参入制限には問題も
自民品確議連で上田埼玉県知事
深刻な地域経済疲弊・雇用問題を受け、建設工事発注でより厳しい地域要件を求める声が自民党だけでなく一部首長からも起き始めている。具体的には、入札参加要件として支店もしくは営業所がある企業を排除する、いわゆる「本店縛り」を拡大しようというもの。ただ「本店縛り」を拡大すれば、地場企業の大手さえも地方建設市場から排除され、行き過ぎた競争制限にもなりかねない。自民党にとって、「地元企業の受注拡大をどうすればできるのかが課題」(自民公共工事品質確保に関する議員連盟の古賀誠会長)が建設業界に対する最大の関心事になっており、行政も難しい対応と選択が迫られそうだ。
自民公共工事品確議連が13日に開いた総会で、埼玉県の上田清司知事は、地元企業の定義について「今は名前だけの営業所がある企業、つまり地元企業としての実態を持たない企業も地元企業として応札できる」とした上で、「一定規模以下の工事は県内に本社があることを定義(応札条件)にしないと本来の地元企業が負けてしまう」と応札時のより厳格な地域要件設定を認めるよう求めた。
自民党内だけでなく首長から、これまで以上に強く地元企業優先主張が出ているのは有力地元企業の規模が県単位ごとで大きく違うことや、支店・営業所を各地に配置する全国ゼネコンが地元企業との競争に参加することへの不満が公共工事市場の縮小ととともに高まっているのが理由。
さらに選挙地域が中選挙区時代から格段に狭まった小選挙区選出の代議士からは、市町村単位の地元要望を反映する主張傾向も強く、地域要件の一層の細分化を求める声も根強い。
ただ地域要件の厳格化を進めれば、全国ゼネコンだけでなく地場大手企業の参入制限にもつながりかねず、自民党や発注行政、地方建設業界は慎重な判断が今後求められることになりそうだ。