政府は8日、賃上げ企業を総合評価方式の入札契約手続きで加点する制度運用を見直した。ボーナスや時間外手当など含む給与総額や総人件費を加点基準にしている賃上げ実績の評価方法を拡充。新たに「基本給あるいは所定内賃金、継続勤務従業員の平均賃金」を加え、企業各社の経営状況などに応じ柔軟に選択できるようにした。
同日付で財務相名で国土交通など関係省庁に通知した。当初の通達(2021年12月17日)に基づく現運用では、総合評価方式の入札で賃上げの加点評価を受けるには大企業で給与総額(1人当たり平均の給与額前年度比3%以上)、中小企業で総人件費を年1・5%以上増やす目標を設定する必要があった。
運用見直し案では賃上げ実績の評価方法を拡充。当初の財務省通達に加え、企業各社の実情を踏まえ継続雇用している従業員のみの基本給や所定内賃金などで評価することも可能にした。中小企業の評価方法についても、実情に応じて当初の総人件費だけでなく、一人当たりの平均受給額で評価することもできるようにした。
当初の制度運用に関しては、建設業界から賃上げを後押しする趣旨には理解を示すものの、これまで賃上げに取り組んできた企業が損をしかねないことなどを懸念する戸惑いの声も続出。自民党「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)の幹事長を務める佐藤信秋参院議員が中心となり、財務、国交両省に対し運用改善を働き掛けてきた。
佐藤氏は今回の運用見直しを「大いに歓迎する」とコメント。今後は22年度上半期の運用状況をフォローアップし、必要に応じ運用変更を財務、国土交通両省に強く伝えていく方針を示した。