2014/9/17(水)
新聞記事
平成26年9月17日 建設通信新聞


品確法運用指針
「柔軟性」求める自治体の声
国交省 発注者懇談会

実態把握し支援策構築







国土交通省は、発注体制や技術力に不安を抱える市町村を念頭に支援策の具体化を急ぐ。11月上旬に予定している、改正公共工事品質確保促進法(品確法)に基づく、発注関係事務の共通ルール「運用指針」(骨子)への意見聴取に合わせて、地方自治体にアンケートを実施。8月の意見聴取で挙がった、各発注者の実情に応じた「柔軟な運用」を求める自治体の声を的確に反映させながら、発注関係事務の適切な実施を促すための具体的な支援策の構築に取り組む。

運用指針(骨子)への意見聴取のタイミングに合わせて実施するアンケートは、すべての自治体を対象とする。

16日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」では、運用指針の検討状況や、11月上旬に運用指針(骨子)への意見聴取に合わせて実施する自治体へのアンケートの項目などを提示した。

焦点は自治体における発注関係事務にかかる実態の把握と望まれる支援体制のあり方など。

国交省が7月に示した骨子イメージ案に対して、自治体から寄せられた、運用指針を発注者共通のルールとして「強制」するのではなく、各発注者の実情を踏まえた「柔軟な運用」を認めてほしいといった声や、運用指針に示す規定内容について、何が「義務事項」で、何が「努力事項」なのかが分かるよう表現してほしいといった要望を踏まえ、アンケートで自治体のさらなる声を引き出す。

アンケートでは、職員数や経験年数、資格保有の状況などから、各発注者の体制、技術力、実施状況、適切に実施するための要望などを把握して、支援が必要となるポイントをとらえるための基礎資料とする。

ここで得られた個別自治体が抱える課題や本音を、各地方整備局単位で行われている発注者協議会の場を活用して共有。それぞれの発注者の連携・対話の中で、改正品確法の理念を着実に全国に浸透させることに加え、発注体制を整備できない自治体への支援策の具体化につなげていく。

国交省が年内をめどに策定する発注関係事務の共通ルール「運用指針」は、調査・設計や発注準備、入札契約といった各段階で考慮すべき事項、多様な入札契約方式の選択・活用方法を体系的に提示する形となる。

あわせて、工事の特性に応じた入札契約方式を自治体が選択しやすいよう、契約方式・落札者の選定・支払いの各段階で採用できる方式、選択の考え方、政策目的に応じた入札方式の活用事例などを記載する。

国交省は、運用指針だけでなく、自治体が適切に対応できるよう「事業の特性等に応じた入札契約方式の適用」と「技術提案・交渉方式」の2種類のガイドラインをまとめる予定。ガイドラインを踏まえ、来年度から改正品確法に基づく、発注関係事務の本格実施を目指す。16日の懇談会では、両ガイドラインの主な内容も提示した。

「事業特性等に応じた入札契約方式の適用」のガイドラインには、採用できる入札契約方式とその特徴、選択の際の留意点などを記載。「技術提案・交渉方式」のガイドラインでは、同方式を採用する工事の考え方、技術評価の方法、審査方法などを示す。

16日の有識者の意見を踏まえながら、年内の運用指針の策定と、運用指針を実際の発注現場で具現化するための「ガイドライン」の年度内の策定、市町村など小規模自治体を念頭に置いた支援策の具体化に向けて着実に歩を進める。