全国建設業協会、日本土木工業協会、日本道路建設業協会、日本橋梁建設協会、建設産業専門団体連合会の5団体は12日、民主、自民、公明、みんなの各党の参議院議員11人による超党派の「公共調達適正化研究会」のヒアリングに応じ、地域育成を重視した調達制度の構築、成長促進型公共事業の推進、適切な維持管理水準を確保できるような公共事業関係予算の確保や施策の展開、ダンピング(過度な安値受注)対策の徹底などを要望した。=関連記事
入札契約制度に対する5団体の共通する課題認識は、総合評価方式が価格偏重に陥っており、その結果、ダンピングが横行し、真に技術と経営に優れた企業の疲弊によって、技術開発や人材育成を含めた再生産、地域の安全・安心の確保が困難になっているという点だ。
このため、全建は、低入札調査基準価格の引き上げ、予定価格の事前公表廃止など地方自治体に対する入札契約制度の改善指導を強化するよう要望。加えて、地方の安全や雇用維持を主眼に置いた地方の産業政策を踏まえ、すべての工事に一般競争入札と総合評価方式を導入することに疑問を呈し、地域の実情に応じて指名競争入札の導入も認めるよう訴えた。
自治体による予定価格の事前公表に対しては、土工協も「技術と経営に優れた企業が成長できる市場環境とはほど遠い」(本庄正史積算・資料委員長)と指摘。技術と経営に優れた企業が適正に評価され、適正な利益を確保できる仕組みを構築するよう求めた。
道建協は、公共事業関係予算の大幅削減で直轄国道を含む道路維持管理水準が低下していることを訴え、調査基準価格の引き上げに加えて、高い品質を確保しながら、効率的に道路の維持修繕工事を実施するため、複数年にわたる性能規定型による一括発注など現在の会計法に縛られることのない新たな入札制度を導入するよう要望した。
橋建協も、会員企業の疲弊や既設橋梁の維持管理の現状に対して危機感をあらわにした上で、技術提案の幅が広がる詳細設計付発注の実施、架設工法の変更が評価できる技術提案を入札時に加算点評価、調査も含んだ詳細設計付発注などを要望し、鋼橋に対するグランドデザインも示すよう求めた。
建専連は、才賀清二郎会長が「目標、座標を立てて、それに向かっていきたいが、何をすべきか、どうすべきかさっぱり分らない」と指摘し、専門工事業者の経営事項審査によるランク付け、建設業許可の見直しなどを訴えた。