177回国会 災害対策特別委員会 第7号 (1)
2011年5月18日(水)午後1時開会
 

本日の会議に付した案件
◇政府参考人の出席要求に関する件
◇災災害対策樹立に関する調査
   (東日本大震災に関する件)

佐藤信秋君

自由民主党の佐藤信秋でございます。

地震発生以来、最初が三月の二十日でしたが、地元に行きまして、知事や市町村長さんたちと会いながら、いろいろ様々御心配なさっている、特に財政的な面というのが非常に首長の立場からいくと気に掛かる、こういう問題から、いろいろ御相談を受けている内容の幾つかを今日はまたお願い申し上げたいと思います。

最初に大臣に、三月十一日の時点でできれば出すべきだったと思うんですが、とにかく予算や責任というのは国がちゃんと取るからこれで何でもできることをやってくださいと、この一言が必要なんですね。いろんな手当てというのはその後いろいろ考えよう、だけどとにかくやることをやってくださいと、このメッセージ性が弱い。特に総理がちゃんとおっしゃるべきだと私は思うんですが、それにしても、これからでも、大臣、一言お述べください。

国務大臣(松本龍君)

佐藤委員におかれましては、私が二十年前国会議員になりまして、初めて建設委員会に所属をいたしまして、建設行政のイロハを教えていただきました。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。防災のことについても本当にいろんな御指摘を受けて、福岡で地震がありましたときも、さっき言われましたように、何でもやってくださいと、後で全部やりますという言葉をいただいたのも今思い出しております。

そういう意味では、瓦れきの処理につきましては、緊急性に鑑みていわゆる全額国庫という状況をつくってまいりました。それ以外のものにつきましても、いわゆる五月二日の財特法においては、上水道等公共土木施設等の災害復旧事業は地方自治体の財政負担力に応じて国庫補助率を最大十分の九までかさ上げをされ、さらに、残りの地方負担分についても起債が認められて元利償還金への交付税措置が導入される見込みであることから、地方自治体の実質的な負担はごく僅かとなっております。

いずれにしましても、できる限り地方負担の軽減を図りつつ、国としても全力を挙げて、これからまだまだ、避難所におられます、そして自宅でじっと我慢をしている方がおられますから、しっかりこれらの方々の生活の改善も図りながら努力を続けていきたいというふうに思っております。

佐藤信秋君

佐藤信秋

意気込みをしっかりやっていただきながら、具体的に実現していっていただきたいというのが幾つかあるものですから、これからお願い申し上げたいと思います。

資料の一に、今回の補正予算で、四兆円ですが、に対して地方負担が生ずるものについて整理してもらったのが資料の一です。これを御覧いただくと、約七千三百億円の地方の負担が出てくるんですね。今のお話の、地方にはできるだけ負担を掛けないと、こういう点からいきますと、本当は一定額以上は全額国費で負担しますよというのが私は一番いい姿だと思う。ですから、これが一割ぐらいになればいいんですね。七百億円とか、せいぜい、そういうオーダーにせないかぬと思っていますが、それにしても現状としてはこういう計算、数字になる。

だとすると、この七千三百億に対して、一次補正だけですからね、これまだ。二次も三次もまた出てくるわけですから。これに対して特別交付税で全額見ますと、こういうのは分かりやすいですわね、これなら分かりやすい。そういういい返事がいただきたいんですが、いかがでしょう、総務省。

○政府参考人(平嶋彰英君)

今、佐藤先生からお尋ねありましたように、平成二十三年度の補正予算では、ここにございますように、おおむね国費に対しまして七千三百億円の地方負担が出ておりますが、このうち今年度、現年特別交付税等で措置することになっておりますのは災害弔慰金の地方負担のようなもの、五百六十億円でございます。ただ、残りの六千数百億円につきましても、基本的には災害復旧事業債等を充当させていただきまして、その元利償還に応じて交付税措置をさせていただくことを予定いたしております。

佐藤信秋君

だから、その交付税措置が駄目だと僕は言っているんです。ね、分かるでしょう。分かりますね。特別交付税でやってくださいと、七千三百億のうちの大部分を、こうお願いしている。

一兆円等、約一兆円年度当初と、それから千二百億今度補正組みましたよね、一兆一千億ぐらいあると。その中で、もちろんほかの地域だって必要になるんだから、今回の地震のこの手当てだけに回すわけにはいきませんよと、そこはよく分かります。だから、もっと増やさなきゃ駄目。特別交付税をもっと増やさなきゃ駄目。今のは説明に多分なっていない。

次に、じゃ、交付税で措置しますと、こう言うんだが、何年で見るんですか、何年で償還することにするんでしょう。

政府参考人(平嶋彰英君)

災害復旧事業債等で起こした起債の償還について普通交付税措置は、基本的にはそれぞれの起債の償還年限に応じてその時点の額に応じて措置をしますが、そういたしますと佐藤先生のお尋ねは、今回の地方債の元利償還の年限がどうなるかということだと思います。

これ、いずれも上限ということでございますけれども、瓦れき処理に必要な災害対策債等は十五年以内、補助災害復旧事業債等は二十年以内、それから上水道等の公営企業災害復旧事業債は二十五年以内、公営住宅建設事業債は三十年以内というふうなことになってございます。

これについては、基本的に災害復旧については私どもも返せるならばできるだけ短い期間で返せるようにする方がいいということなんでございますが、阪神・淡路大震災のときも大変に被害が大きゅうございまして、そのときにその起債の元利償還というものが、単年度のものが大きくなり過ぎるとやはりそれが負担であるということ、それから公営企業債の場合は一部料金負担もあるわけですけれども、できるだけ平準化をさせてほしいという要望がありまして、阪神大震災のときも相当程度引き延ばしたという経緯がございます。

それもございまして、今回、地元の御要望も踏まえまして、上限については阪神大震災よりも更に長くさせていただいたと。それはやっぱり国の方もそれだけ補助率を引き上げているということで、その上限を長くさせていただいているという措置を講じさせていただいております。

佐藤信秋君

実はそこが逆なんですね。分かるでしょう。市町村長や知事の立場からいくと、逆に作用する。十年もたったら、災害対策債で手当てしたその元利償還の分が幾ら交付税で入ってきているか、これは分からなくなります、みんな。

その分を、その額を上積みするのならいいんですよ、普通交付税として交付税算定額の基準以上に毎年一兆円ずつ増やしますとかいうのならいいんですが、ところが、そっちの方は予算上で決めますと、配分だけ基準財政需要額に入れますからねと、こう言って十五年、二十年にしたら幾らもらっているか分からなくなる。これは公共団体の首長たちはさんざん痛い目に遭っているんですね。それは分かるでしょう。合併債がそうでしょう、合併特例債がね。みんな一生懸命やれと言われて一生懸命頑張りましたと、ところで幾らその後の交付税措置で返ってきているんだろうと、これは分かりません。分からない。

だから、できるだけ短い期間にして、しかも、これは財務とのやり取りでしょうけど、その分は交付税を上積みする。できるだけ特別交付税で見ます、漏れた分は普通交付税で後年度負担で元利償還を見ますけれど、できるだけ短く上積みしてあげます、その分交付税をしっかり取りますと、こういう闘いをしないと、実は被災した市町村や県はほかのことが全部できなくなっちゃう。それは分かりますよね、財政窮迫して。だから言っている。

特別交付税をできるだけ取りなさい、それから取ってくださいと、それから、残りの分としてはどのぐらいやっていただけるのか分からぬが、七千三百億のうちの四千億ぐらいは特別交付税で面倒を見ていただくと、こういうのが大前提だと思いますけど、私は。思うけれども、その残りの分の三千億とかいうのは交付税の期間をできるだけ短くして、しかも、その分は交付税全体の外側に乗っける努力をしなさい、してくださいと、こういう方向性をお願いしている。その気になってもらわなきゃ、これはみんなが困るだけなんですよ。御答弁。

政府参考人(平嶋彰英君)

今、佐藤先生から御指摘がありました件、実は阪神大震災の直後等に関しましては、皆さんそういうことについて御心配を余りいただいていなかったのでありますが、今、合併特例債の御指摘がございましたけれども、合併特例債のときも言われたことは、三位一体改革の中で、私どもとしては、先ほど申しましたように、例えば今回の災害復旧事業債に関して申しますと、交付税に入っている額はその年の元利償還金百円のうち九十五円とはっきり書いてございますし、その金額も各団体は算定をしておりますので皆さん分かっているわけでございますが、他方、そのときに、三位一体のときには、それはそのとおり入っているけれども、ほかのところで削られているから削られているじゃないかというような御議論がありまして、今、佐藤先生の御指摘のようなお話があったんだと思います。

今後について、私ども、交付税の総額を決定するときには地方財政計画を作って、その中にきちんと所要額を算定するという作業をしております。その中に今回の災害復旧事業債の元利償還金はきちんと全部入れて、それで足りない場合にはきちんと交付税に上乗せをしてもらって、必要な交付税を確保した上で元利償還に対する措置をしていきたいと思っておりますので、是非御理解をいただきたいと思います。

また、地元の側も、短く早く終わらせた方がいいという問題もある一方、やはり毎年度の公債費が非常に高いということ自体に対する不安もございまして、ある程度の期間については、いろんな御意見もありますので、私どもも努力をしてまいりますということを申し上げまして、答弁とさせていただきます。

佐藤信秋君

佐藤信秋

その額がちゃんと行くんなら、しかも、起債の許可枠の外側で災害対策ですよと、こういう話であれば早く返してもらう方がいいに決まっているんです。三年で返しますよ、その分どんと上積みしていきますよと、それならその方がいいに決まっているんですから、今のはちょっと詭弁に近いですね。それで、時間がたっている間にまた、三位一体じゃないけど、またこういう改革をしますと面倒を見てもらえなくなると、みんなそう思っているんだから、実は。だから駄目なんです、今の御答弁ではね。それは努力はしっかりやっていただかなくちゃいけない。

ということで、瓦れきの処理に入りたいと思います。だからこそ、いろんな心配しているんです。

資料二に瓦れきの処理、これは私が勝手に書いてみたんだけど、災害救助法上は県が生活障害の障害物除去、住宅の中にある瓦れきあるいは周辺で出入りに差し支える瓦れきというものは言ってみれば障害物の除去で、県が災害救助法でやりますよと、こういうことですよね、局長。それから、廃掃法でいえば市町村長が責任持って瓦れきの処理してくださいと、こういうことになっているんですね。それで、そのほか公物管理とかあるいは農地、漁場等がありますから、瓦れきの処理が非常に難しいというのはよく分かります。

現地では、市町村が今回百分の百といいますか国費で面倒を見ていただけると、こういうことだから市町村が積極的にやってくださいと、こういうことではあるんですが、それぞれ置かれた状況によってとても瓦れきの処理まで手は回りませんという市町村と、自分のところで一次処理ぐらいまではやるけれども、そこから以降はちょっと無理なんだよという市町村。これは実態行為として、実行する行為としてですね。負担の方は、実は、市町村が自分でやりますとこう言うと、この地方負担額にあるように、瓦れきの処理、地方負担分として四千二百億のうちの五百八十五億と、こう出てくるわけですね。

これは災害救助法の方もそうなんです。災害救助法の方は、今度は県が実行しますよと。それで、これがお互いに委任できるようになっているから、まとめてどちらかがやってくれると、こういうことでもいいんですけど、一次処理、二次処理と最終処理といいますか、仮置きと最終処分というような段階で、この瓦れきをそれぞれごとに分けるわけじゃないから、あそこを置場にしましょうと持っていきますよね。そうすると、その県と市町村にしてみると、自分の分、費用負担どのくらい出るかな、実態行為としてやるという問題と今度財政負担の方と両方考えながら。落ち着いてくると、大急ぎのときは緊急だ緊急だといって頑張ってくれるんですが、特に最終処分なんかを考えていこうとすると、そういう財政負担はどうなるかと、こういうことが大変気になってくるというか。これは、市町村長や知事は一生懸命とにかくやるんだと。だけど、部下の皆さんは、財政預かる人たちとか、これはいろいろな心配せないかぬわけですよね。それでさっきの、総務省で特別交付税で全部見てくださいね、基本的にはと、こういうことを申し上げているわけです。

資料の三に、環境省で、この大震災では特定被災区域は百分の百までいけるようにしますよと、こういうお話がありました。ありましたが、今言ったようなお話ですから、みんなそれぞれが財政負担どのぐらいになるかなと、財政の懐の方を担当する部局の部局長さんたちはそんなことも考えながらやっているということを御承知おき願いたいと思います。

そこで、これはどちらに聞けばいいかな、伊藤さんに聞けばいいのかな。市町村と県と、それぞれ瓦れき処理、委任がし合いっこできると。ただ、県の方は、救助法の方は住宅の中と住宅周辺。ですから、ここをわざわざ分けることはないですよね。ないんですが、ある程度基本的な考え方を示してあげると市町村長や知事が楽になるかなと。

というのは、単価も違うんですね、これね。住宅周辺の方は、一戸当たり大体標準が十三万四千円ぐらいですかね。ただ、今回は特別もっと掛かるだろうと。そうだとすると、お互いに環境省と厚労省である程度はこんな考え方で、救助法の方ではこのぐらい見て、片一方はこのぐらい、市町村の廃掃法の方ですね、みたいな打合せがしていただけると一番いいんだけどなと、こう思うんですが、それぞれお二人、どうでしょう。

政府参考人(清水美智夫君)

御指摘のとおり、災害救助法に基づく障害物の除去は、法律上は都道府県ということになってございますが、実態におきましては、避難所の設置などと同様、市町村が行うということになっているというふうに承知してございます。

廃棄物の処理、瓦れきの処理もやはり市町村でやっていただくということになってございますので、実質的には一つの主体におきまして関係機関と、現場では関係機関と連絡を取りながらやっているということですから、実務上のそごがないように現場では行われていると思いますけれども、そこにおきましてやはりいろいろな問題が生じてくるということになりますれば、現場の廃棄物処理の協議会でも、あるいは中央レベルにおきましても、私どもと環境省の廃棄物・リサイクル部長との間でもいろいろと協議を必要に応じてやってまいりたいと考えてございます。