佐藤信秋君
自由民主党・無所属の会の佐藤信秋でございます。
これまで、大変格調の高い御質疑がございました。私の方は、実務的な面も含めまして、少しこれからの国土交通行政について前向きの話をできるだけしていただければと思っております。
国土交通大臣には大変真摯に、また率直に御答弁をしていただき、そして私もおととしまで勤務しておりました国土交通省の道路を含めて至らざるところ、大変おわび申し上げ、また大変感謝、敬服申し上げる次第でございます。
所信に対する質疑でございますので、所信の順番に従いまして多少御質疑をさせていただきたいと思います。
最初に、大地震や豪雪等の災害が大変起きた、昨年はと、こういうことであります。中国が有史以来のといいますか大変な豪雪だったと、今年、という報道でありました。この中国の豪雪で百二十人の方が亡くなられたという報道があったと記憶しております。その後増えているのかもしれません。日本の場合には、平成十七年の豪雪で百五十人以上の方が亡くなられました。いかに日本という国が大変自然的、気象的に厳しいのかということが端的に表れている数字だと思います。
そういう意味で、最初に、昨年と限らずに近年、大地震や豪雪等について、あるいは豪雨等について災害の実態、この認識をまずお伺いしたいと思います。
政府参考人(甲村謙友君)
近年の災害の実態についてのお尋ねがございました。
近年の主な災害といたしましては、平成十九年には、震度六強を記録いたしました能登半島地震や新潟県中越沖地震といった大規模地震が発生しております。また、平成十八年には、先生今おっしゃったように、各地で年間の最深積雪の記録を更新した平成十八年豪雪や、九州地方から関東地方にかけての広い範囲に被害をもたらした梅雨前線豪雨が発生したところでございます。さらに、平成十七年におきましても、福岡県西方沖地震や九州、四国、中国地方を中心に激甚な災害をもたらした台風十四号などの災害が発生しております。
このように自然災害に対して脆弱な国土条件、気象条件下にある我が国におきましては、毎年大きな被害が発生しているところでございます。国土交通省が所管しております公共土木施設の各年の被害報告額は、国、地方公共団体合わせまして、平成十九年が二千五百五十億円、平成十八年が四千百三十三億円、平成十七年が三千二百七十四億円となっております。
佐藤信秋君
被害額に伴いまして単純に災害を復旧する、これだけでは駄目だ、収まらないと、こういうことで災害の関連事業等で程度を上げた復旧復興をする、これがまた大事な問題だと理解しています。
そういう中で、そういう災害の非常に厳しい、自然条件厳しい日本、この中で、どうしても最近地方の元気がなくなってきた、これがまた大問題であるわけでありまして、格差と言われたりしておりますけれども、格差の以前に、それぞれの地域を見るといろんな課題抱えている。中でも、いわゆる中心市街地がシャッター通りになってきた、これはもう随分長い間の課題でありまして、十年、十五年と対策を打ってきたところであります。近年で申し上げれば、中心市街地の活性化の基本計画というものを作りながら具体的に町並みの再生というのを目指してきた。
その進捗状況と、これからどんなふうな方向を目指そうとしているか、これについてお教え願いたいと思います。
政府参考人(増田優一君)
お答え申し上げます。
中心市街地の活性化、これはまさに現下の我が国の最重要課題の一つだというふうに認識しておりまして、商業機能、商店街の活性化のみならず、町中居住の推進、公共交通機関の利便の増進、それから公益施設等の都心機能の集約化、それから市街地の整備改善、様々な視点から総合的、一体的な取組が必要であるというふうに考えております。
国土交通省といたしましては、市町村の創意工夫を生かした取組に対しまして、まちづくり交付金でありますとかあるいは地域住宅交付金等様々な支援を行っているところでございまして、特に御指摘のありました中心市街地活性化基本計画の認定を受けた自治体に対しましては重点的な支援を行っているところでございます。
ちなみに、先生御地元の新潟市におきましては、去る三月十二日にこの基本計画の認定がなされました。非常によくできた計画でございまして、にぎわい、交流の促進、都心型雇用の創出、町中居住の促進、そして中心市街地内の三つの地区の交通の連携、そういった目標を掲げて計画が策定されております。国土交通省といたしましては、先ほど申し上げましたまちづくり交付金、地域住宅交付金、オムニバスタウン整備事業等を活用して積極的に支援してまいりたいと考えております。
それから、お尋ねの中心市街地活性化基本計画の認定状況でございますが、平成二十年三月十二日現在で全国で三十二件認定がなされておりまして、現在、更に六十を超える自治体が内閣府の担当室に相談しているという状況でございます。
佐藤信秋君
計画を作るだけでは駄目だと、こういうことであるとは思いますが、作った計画をフォローする。それから、今のお話だと、三十二と六十足しても九十二。それぞれ県庁所在地も大変なシャッター通りが増えてきているというのが実態でもあります。もちろん、中心市街地の活性化計画あるいはまちづくり交付金等だけでやっていけるということではありませんが、それぞれの地域の自主的な取組とそれを応援する、この和が全部やっても九十二、百まで行かないという意味ではまだまだ頑張っていただく必要があるんだろうなと。そのためには、今までできた計画に基づいてしっかりと仕事をしたら、事業をやったら、ああやっぱり戻ってきたと、これはソフトを含めての議論だと思います、ソフトも含めての議論だと思いますが、戻ってきたというような事例を積み重ねていく、是非そうしたことを実行していただきたいと思う次第であります。
ところで、中心市街地のシャッター通りというのも問題ではありますが、地域の抱える課題という面でいうと、地域の基幹産業というのが大変な状況になっているというのも確かであります。私は、地域の基幹産業というのは三つ、もちろんたくさんあるんですが、ベーシックには三つ大事にせないかぬのがあるなと。一つは農林水産業、もう一つは観光産業、そしてもう一つが建設産業、こういうことだと思っています。全国見て回りますと、この三つが一緒になって元気出そうということでないと本当の意味の地域力というのが出てこない。今のふるさとと地域の疲弊というのがこの三つのサイクルがうまく回っていない、回らせるためにはいろんなことをやらないけないという問題だとは思います。先ほど田中先生から、全国五十二万社、六分の一の就業人口を抱えるんではないのか、人口の六分の一が関与しているんじゃないか、建設産業、大変な厳しい状況であることもまた確かであります。
国土交通省の調査というか、保証会社の、建設業の保証会社の調査によりますと、平成十八年で県の全部の経常利益の平均、総資本経常利益率が県平均で、極端なのを除いてですが、県平均で赤字になっているというところが二十二県あるんですね。定義が若干違うところもありますが、四十七県のうちに二十二県が建設産業、五万九千社が対象ですが、県全体の平均で赤字になっている。こういう状況では、仕事をしても利益が出ない、税金も払えない。県全体としてそうなっているという大変厳しい状況で、十九年、二十年ともっと厳しくなってきているんじゃないかなと、実感としてはそんなふうに思うところであります。
建設産業の再生、こういう問題について、どんな方向性を考え、どういうふうに行動しようとしているかという点についてお聞かせ願いたいと思います。
政府参考人(榊正剛君)
御指摘のように、我が国の建設産業、建設投資の急激な減少によりまして厳しい経営環境に直面をいたしております。
御指摘のように、建設業の利益率が低水準で推移しておりまして、倒産件数、負債総額とも依然として高水準という状況でございます。特に、地域の代表的な建設会社でございます建設業協会の会員企業の倒産件数も近年増加傾向にありまして、実は平成十九年には五年ぶりに四百件を突破するということでございますので、全建の企業が一日一社は倒産していると、こんな状況でございまして、地方を中心に大変厳しい状況に置かれているというふうに認識をいたしているところでございます。
ところが、建設産業、先生の御指摘のように、我が国のGDP、全就業者数、それぞれ一割を担うという基幹産業でございますし、住宅・社会資本の整備を通じて我が国の経済社会の発展に貢献していくということが望まれておるということでございます。また、災害発生時には率先して復旧復興に御尽力いただいていると、こういう産業でございますので、何とかこういう産業を伸ばしていきたいと。特に、技術と経営に優れ地域に貢献する地元企業が生き残って成長できる環境整備、これを努めるのが私どもの責務だというふうに思っているところでございます。
昨今の状況をかんがみまして具体的なことを申し上げますと、まず総合評価方式でございますけれども、特に市町村において導入、拡充が遅れている状況がございますので、この年度内にすべての公共発注者に対して、総務省、財務省と連携いたしまして、年度ごとの実施目標の設定を入札契約適正化法に基づいて要請をいたしたいというふうに考えております。
それから、公共団体におきまして、防災協定の締結とか地域の建設業の地域貢献ですとか、施工実績、工事成績を評価するような特別簡易型総合評価方式が活用されつつありますので、こういったような方式を含めまして市町村が一層総合評価方式を導入しやすいようにということで、この三月一日に手続の簡素化を内容とする自治法施行令を施行したところでございますが、これに加えまして、公共団体向けの総合評価実施マニュアルを改定をいたしたいというふうに考えております。
それから、ダンピング受注につきましても、公共団体に対して、総務省と連携いたしまして、予定価格や最低制限価格の事前公表の見直し、最低制限価格及び低入札価格調査基準価格の適切な見直しと、それから総合評価方式におきます低入札価格調査と価格による失格基準の併用といったことにつきまして、これも入札契約適正化法に基づきまして近々要請をいたしたいというふうに思っておるところでございます。
佐藤信秋君
建設産業の再生というのは、これから安全、安心、災害対策と、こういう面で考えても大変重要な問題として、厳しくなればなるほどもっともっと重要性を増してくる、こんなふうにも思いますので、よろしく取り組んでいただきたいと思います。
私が申し上げた基幹産業三つのうちもう一つ、もう二つ残るわけですが、農林水産業と観光産業。観光産業についてお伺いしたいと思います。
観光庁の創設ということで意欲的に国土交通省には取り組んでいただいています。観光立国推進ということで、二〇一〇年だったかと思いますが、二〇一〇年までに外国からのお客様を一千万人にしよう、こういうことで目標を立てやってきたところだと理解しています。
現状では、どのぐらいの外国からのお客様がおいでになられたか、あるいはこれまでの努力と、それから更に増やしていくために、先ほどの田中先生のお話にありましたようにいいものを育てていかなきゃいけない、こういう問題であると思いますし、そういう意味でトータルな取組というのをこれからどんなふうな方向で考えていこうとするかという点について、お聞かせいただきたいと思います。
政府参考人(本保芳明君)
先生御指摘のように、観光は地域の基幹産業でございますし、また、二十一世紀の成長産業ということで大事な国づくりの柱だと、このように考えております。
こうした観点から、先ほど冬柴大臣の御答弁にもありましたように、平成十八年末に観光立国推進基本法を成立させていただきまして、これを受けて、先ほど先生御指摘の数字も含めました観光立国推進基本計画というものを昨年六月に閣議決定していただいております。
これに基づきまして観光政策の推進を政府を挙げて強力に推進しているところでございますが、このうち国際観光につきましては、昨年の訪日外国人旅客数が、一千万人の目標に対しまして、これ二〇一〇年でございますが、過去最高の八百三十五万人に達しております。大変順調に伸びていると言ってよろしいかと思いますが、外国人旅行者の訪日を更に促進するためビジット・ジャパン・アップグレード・プロジェクトとして我が国の魅力の一層の発信に取り組むほか、国際会議の開催、誘致というものも推進してまいりたいと思っております。
また、国内旅行につきましては、一人当たりの宿泊数を二〇一〇年度までに年間四泊にすると、こういう目標を掲げているところでございまして、このため、宿泊を伴う滞在型観光の促進のために、地域の関係者の創意工夫を生かした魅力ある観光地づくりの取組を積極的に支援すると、こういう観点から、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案を今国会に提出させていただいているところでございます。また、御指摘ありましたように、観光行政に責任を持つ組織を明確化して、観光立国の実現に向けた施策を強力に推進するということで、そのための核となる組織といたしまして国土交通省に観光庁を設置することといたしまして、そのための法律案も提出させていただいているところでございます。
国土交通省といたしましては、各省庁との連携を強化いたしまして、住んでよし、訪れてよしの国づくりのために全力を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
佐藤信秋君
十九年で八百三十万人とおっしゃいましたですかね。
政府参考人(本保芳明君)
昨年です。
佐藤信秋君
昨年、十九年、八百三十万人。目標の千万人に行くには、そうするとこれから年間また七、八十万人、三年で八十万人ずつぐらい増やさないといかぬと、こういうことですか、という大変厳しい目標ではあると思いますが、是非目標を上回って達成していただく。そして、日本を多くの外国の皆様に御紹介申し上げて、本当にいい国だなということをお知りいただく。ただ、先ほど申し上げましたように自然状況が大変厳しい、災害も多い、こういうことでもありますから、そうした点についても、その克服努力なども御紹介いただくということも一つの大事な方策かなと思ったりしているところであります。
ところで、羽田も成田もこれ以上発着枠を増やすことができないほどに大変な混雑状況であることもまた確かであります。もちろん羽田、成田だけではなくて、関西空港にしろ中部空港にしろ、それぞれ国際空港として活用していく仕方を考えていく、これは大事な問題だと思います。関空も二期ができました。そういう意味では、ハードといいますか、とてもとても枠が足りないというのが羽田と成田の実態であろうと、こう思っているわけであります。
拡幅拡張計画がそれぞれ四期と二期と、延伸しですね成田の方は、なるわけでありますが、現在の進捗状況といいますか、いつごろまでに何とかなりそうか、どのぐらいがと、こういう点についてお尋ね申し上げたいと思います。
政府参考人(鈴木久泰君)
お答えいたします。
委員御指摘のとおり、首都圏の航空需要、大変伸びておりますので、羽田、成田の二大空港では今満杯でこれを受けられないという状況でございます。この二大プロジェクトを今鋭意進めておるわけでありますが、まず羽田に四本目の滑走路を整備いたします再拡張事業、これは昨年の三月末に現地着工をいたしまして、現在二十四時間三百六十五日、突貫工事で進めております。現在、埋立部につきまして地盤改良工事をほぼ終えまして、護岸の工事に取りかかっておるという状況でございます。また、桟橋部につきましては一部もう海面に姿を現しておりまして、これをどんどん広げていくというような段階になっております。それから、成田の暫定平行滑走路の北進二千五百メーター事業、これにつきましては平成十八年九月に着工いたしまして、現在、延伸部分の直下にあります国道のトンネルを切り替えて補強するという工事をほぼ終えまして、滑走路本体の造成工事に入ってございます。
両事業の完成目標時期は羽田が二〇一〇年の十月、成田が二〇一〇年の三月でございますが、この二〇一〇年というのは明治四十三年、一九一〇年に徳川大尉と日野大尉によって我が国で初めて動力飛行がなされてからちょうど航空百周年に当たります。この記念すべきときに是非とも二大プロジェクトがきちんと完成いたしますようにしっかりと工事を進めてまいりたいと思っております。
佐藤信秋君
二〇〇九年度で頑張っていたんでしたかね、だから二〇一〇年三月と、片一方二〇一〇年十月ということで、是非、今の航空百周年、そういう意味では間に合わせていただきたいな。そして、それをまた世界中の皆様に航空百周年を一緒にお祝いいただくようなことも大事なことだろうと、こういうふうに思っておりますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
世界に誇るといいますか、最先端を走るという意味で、昨年御議論していただいたというか、させていただいた緊急地震速報、これが、せっかく用意はしました、ちゃんと活用できているのかなと、それがちょっと気になりました。そういう意味では、緊急地震速報の活用状況について、その後、具体的にどうなっているか教えていただければと思います。
政府参考人(平木哲君)
お答え申し上げます。
先ほど御指摘ありましたとおり、昨年十月一日から緊急地震速報を広く国民への提供として開始しております。昨年十二月一日からはこの緊急地震速報を地震動の予報・警報として位置付けたところでございますが、現在まで震度五弱以上が予想される警報となる緊急地震速報は発表しておりません。震度四以下の予報につきましては、三月二十七日十一時、本日でございますが、現在まで百五十七回発表しているところでございます。
緊急地震速報はテレビ、ラジオのほか様々な手段、場所において国民に広く伝達されております。例えば、全国の百貨店約二百六十店舗のうち約八十店舗では館内放送を開始あるいはその準備をしていると聞いております。また、緊急地震速報に対応しました携帯電話の端末が少なくとも四百万台、ケーブルテレビ回線を利用した専用端末が約二万台販売されているとも聞いております。さらに、鉄道事業者三十七社が導入しておりまして、緊急地震速報の利用は着実に拡大しております。
今後とも、関係機関の協力を得まして、緊急地震速報の利用の心得の普及を中心としまして、周知広報活動を行いつつ、利用の拡大に努めていく所存でございます。
佐藤信秋君
世界的にもこの緊急地震速報なるものをこうしてしっかりと出しているという国はないわけでありますので、是非国際的に、日本ではこんなふうな活用をしているんだということを、今のような数字も含めてどんどん発信していただくのが大事なことかと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
地震と関連いたしまして、また先ほど長浜先生の御質問にもございました、建築基準法の改正の問題であります。
現在の状況は先ほど大臣にお話しいただきました。大臣認定プログラムについて、NTTドコモのが最も早く実用化ができたと、こういうことだと理解しておりますが、問題は、たくさんのプログラムが、いろんな選択肢があるということがまた大事なことになろうかと思っております。そういう意味で、他のソフト会社の開発状況といいますか、をちょっと気になるのでお伺いしたいなと。
実は、耐震計算のプログラム自体はいろんなものがある、成立し得るわけでありまして、私も多少プログラム見てみました、今までのプログラムですね。これ、みんな物すごく不親切なんですよ、プログラムが。プログラムそのものを見ても、それからそのアウトプットを見ても、どこがどれだか分からないというような、元々そういう書きぶりになっているんですね。
なぜかというと、これは結局、知的財産という面で、分かりやすくするとほかの人に開発されてしまう、取られてしまう、これが一つの問題だというふうに私自身は理解しました。そう書いてあるわけじゃないんですけどね。プログラムそのものもアウトプットもほとんど記号と数字の羅列で、どれを、何の計算をしているかみたいなことが手順で分かるようになっていない。
したがって、一つのプログラム、今度は大臣認定プログラム、一つのプログラムというよりは幾つものプログラムが、こっちの方が便利ですよとか分かりやすいですよとか使いやすいですよとかいって出てくるということがまた大事なことだろう、私はプログラムの問題についてはそう思っています。今までのプログラムでもそうした説明をしっかりとすればかなり使えるんだろう、早くも見れるだろうと。ただ、そういう知的財産の問題があるので極めて不親切になっていると。そうだとすると、新しい大臣認定プログラムは一つではなくて幾つかの信頼できるプログラムが市場に供給されることが望ましい。そういう観点から、他のプログラムの開発状況等についても教えていただければと思います。
政府参考人(和泉洋人君)
お答え申し上げます。
委員御指摘のように、複数のプログラムがあった方が望ましいと、こういった状況でございまして、第一号はNTTデータでございましたが、現在その性能評価機関に正式に申請している会社が三社ございます。当然、開発会社の進捗状況に応ずるわけでございますが、性能評価機関の方には、その状況に応じて的確にかつ速やかに性能評価をして、そういったプログラムが世の中に出るように要請しているところでございます。
佐藤信秋君
是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
今日はたくさんの部局の方から出ていただきました。国土交通行政、大変幅広いということで、大変恐縮でありますが多くの皆様においでいただきました。最後の方になりますが、税の問題について多少触れさせていただきたいと思います。
我が国の税収というのが大変長い間余り増えてきていない、これが一番の問題だろうと私自身は思っています。先ほど交付税を切ると、こういう話もありました。税全体として増えてこないことにはなかなか厳しいところがあるなと。平成元年度、国と地方の税収全部合わせて八十八兆円なんですね、八十八・九兆円。平成十年度八十七・一兆円、十年間で逆に下がっています。そして平成二十年度、当初の今の予算でいきますと九十六・三兆円ということで、平成十年度よりは九兆円ほどですか、増えている。
ただ、これでは言われておりますように七百兆を超えるような国と地方合わせた債務、この返済もしながらちゃんとした予算を組んでいくということがいかに厳しいかという問題だろうと思っています。平成元年にはGDP比に対して二一%の国と地方を合わせた税があったんですね。国税と地方税合わせますと二一%、GDP比に対して。今はこれが一八%ですから、まあ大変厳しい状況ということに変わりがない、こういう問題であります。
そういう中で、増税、減税あるわけでありますが、トン数標準税制、これは日本の海運、こういうことを考えたときにこのままでいいんだろうか。日本は四海、海に囲まれて海運国家日本、こう言っていたのが、いつの間にか外国人の船員さんがたくさんになって、外国船籍もたくさんになって日本独自のといいますか日本がしっかりと自ら船を持ち運用するという形でなくなってきた。これがまた一つの大きな、日本という国が世界から見たときに衰退しているんじゃないかなというふうに見られる一つの要因でもあろう。
そういう意味で、このトン数標準税制、もちろんこれだけではありませんが、これだけではありませんが、海運の再生、こういう面からいって取っかかりとして期待している、こういうことだろうと思いますが、その効果について御説明をお願い申し上げたいと思います。
政府参考人(春成誠君)
お答えを申し上げます。
ただいま先生御指摘のように、我が国の経済なり国民生活にとりまして、この貿易量のほぼ九九・七%を輸送しております外航海運というものは極めて重要な役割を担っておるわけでございますけれども、その外航海運の実態が我が国において非常に憂慮すべき状態になってございます。その安定輸送の中核となるべきなのはやはり日本籍船であり日本人船員であるわけでございますけれども、国際競争の激化、とりわけプラザ合意以後の円高によることによりまして、コスト競争力上競争力を失ったものですから、極めて激減しておる状態でございます。
いささか数字で申し上げますと、最も多かった日本籍船につきましては昭和四十七年でございます。このときが一千五百八十隻でございますが、現在ほぼ九十五隻。それから、日本人船員につきましても最も多かったのは昭和四十九年の五万七千人でございますけれども、現状は約二千六百人という状態になってきてございます。
私ども、こういった状態を打開すべく、また、海洋基本法も施行されまして、その中でも安定輸送の確保ということがうたわれてございますけれども、長年来、トン数標準税制の導入に向けてお願いをしてまいりました。
これは、世界の大体トン数ベースで見まして約六割強の国がこれを導入してございまして、いわゆる法人税の特例でございますが、これを私どもにおいても導入させていただくということによりまして競争力を回復させていきます。その回復した競争力によりまして、その余力をもちまして日本籍船あるいは日本人船員を確保、育成していくという目的を、効果を私どもねらっておるわけでございます。ひいては安定輸送の確保ということを確保してまいりたいと思っております。
具体的な制度設計につきましては、私ども、今国会に所要の法案を提出をさせていただいております。こちらの方で具体的な制度設計を図ってまいりたいと思っております。
佐藤信秋君
所信に従いまして順番に伺ってまいりました。
最後、一言だけ道路の特定財源問題につきまして触れさせていただきたいと思います。
先ほど、田中先生の方からは地方の財政にそう影響はないよと、こういうお話ありました。大江先生からは、暫定税率は断固として継続すべきであると、こういう力強い御発言もいただきました。地方財政、具体的にはまた特定財源の審議があろうかと思います。
今日は、公共団体の負担という問題について市町村長さんが大変心配しておられる、それはなぜかという点について、私、気が付いた数字一つだけ挙げさせていただきたいと思います。
総道路投資という弁でいきますと、平成二十年、七兆七千億円なんですね。七兆七千億円で、このうち一般の道路事業と言われるものと有料道路事業と言われるものと、そして地方の単独事業ということで、三つの種類で分かれているわけでありますが、大きく分ければです。地方の負担金といいますか、地方が補助事業や直轄の負担金、それから自分で独自におやりになる事業、これの合計が、地方が負担すべき額というのが三兆八千億円見込まれているんですね。地方の負担金が三兆八千億、単独事業も含めて財源として必要と。この三兆八千億円の中で二兆一千億円が特定財源、その二兆一千億円から九千億なくなる。こういうことで一兆二千億になるものですから、三兆八千億円を賄おうとすると、実は一兆二千億円しかない。これが地方の実態、都道府県と市町村と合わせたですね。
問題は、市町村の場合には、都道府県もそうなんですが、既に借りた公債費の返還、これが実は特定財源の大部分を占める。そうすると、実は一般財源入れようとしても、今度は入れようとすると起債になりますから、起債の担保がなくなるんですね。公債費の分の返還に充てようとすると、特定財源を充てている、それが足りなくなるんで、さて借りようとすると今度は担保がなくなる。
委員長(吉田博美君)
時間が来ていますので簡潔にお願いいたします。
佐藤信秋君
はい。
したがって、ほとんど維持管理しかできない。維持管理もできなくなるぐらい。こういうことが市町村長さんたちが動いている一番の原因かなというふうに思います。
またこの議論は別の機会にということになろうかと思いますが、最後にそうしたことを指摘させていただいて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
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