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新聞記事
令和7年3月31日 建設通信新聞
建設工業新聞

政府 5本柱で計324施策
国土強靭化実施中計の素案
物価高騰 適切に反映

政府は、国土強靱化実施中期計画の素案をまとめた。計画期間は2026−30年度の5年間で、期間内に取り組む324施策を定めた。事業規模は盛り込んでいないが、資材価格や人件費の高騰に伴う影響は予算編成過程で適切に反映するとした。4月上旬からパブリックコメントを始める。

28日に開いた国土強靱化推進会議に示した。素案では国土強靭化基本計画に掲げる▽防災インフラの整備・管理▽ライフラインの強靱化▽デジタルなど新技術の活用▽官民連携の強化▽地域防災力の強化――の5本柱に基づき計324施策を定めた。このうち推進が特に必要となる116施策は、南海トラフ地震の発生率などを踏まえ、20‐30年後を目安とした目標を設定する。

気候変動への対応では、関係省庁の枠を超えた流域治水対策や、官民が連携して護岸のかさ上げなどに取り組む港湾の協働防護を進める。複合災害の発生も念頭に災害時の応急対応を自動化・遠隔化するため、ICT施工の高度化に取り組む。

インフラの老朽化対策として、新技術を活用した点検診断や池域インフラ群再生戦略マネジメントを推進し、要緊急対応応箇所の早期解消を目指す。上下水道施設については、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて設置した国土交通省の有識者委員会の議論も踏まえて対策を盛り込む。

南海トラフ地震などの巨大地震対策では、高規格道路の整備など道路網の機能を強化し、発災後の迅速な交通確保につなげる。重要施設に接続する上下水道管路の耐震化、住宅や建築物の耐震化も推進する。

平時と災害時を区別しないフェーズフリーの体制を構築するため、インフラの施工管理や維持管理でデジタルの活用を進める。応急対応の強化に向けて、TEC−FORCE(緊急災害対策派遣隊)の資機材の充実を図る。

地域防災力の向上では、地域の守り手となる建設業の担い手確保対策を位置付ける。国、自治体の建設キャリアアップシステム活用工事や週休2日工事の導入率を目標に設定する。立地適正化計画と国土強靱化施策の連携も強化していく。

計画は毎年度の年次計画を通じてフォローアップを実施する。事業の実施に向けて、財源確保策の具体的な検討を始めることも明記した。