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新聞記事
令和6年2月29日 建設工業新聞
建設工業新聞

積算基準
現場管理費率引き上げ
移動時間踏まえ 歩掛りも改定

国土交通省は直轄土木工事・業務で受注企業の時間外労働の罰則付き上限規制への対応を後押しする。2024年度の積算基準の改定で、書類作成経費などの最新実態を踏まえ予定価格の算出に用いる現場管理費率を見直す。直接工車費1億円の河川工事を例にすると、現揚管理費率は約1ポイント引き上げられ、予定価格を約100万円押し上げる効果がある。現場移動などの時間を踏まえた積算の適正化にも着手し、現道・維持関係などの11工種で歩掛かりを改定する。

現場管理費率の見直しは4年ぶり。書類作成の経費や下請の本社経費などの直近の実態を調査し増加分を反映した。例えば河川工事では純工事費に対応し15.91〜44.05%(従来は14.98〜43.43%)の率を新たに用いる。工種によって率は異なるが、いずれの工種も直接工事費1億円の工事では率が1ポイント程度の引き上げになるという。

時間外労働規制を見据えた積算の適正化では、これまでも朝礼や準備体操、後片付けなどの実態を把握・分析し標準歩掛かりに順次反映してきた。今回から路上工事など常設の作業帯が現場に設けられない工事を念頭に、資材基地からの移動時間などを詳細に把握できるよう調査票を見直した。舗装版破砕工や電線共同溝工など11工種で、現場移動などで作業時間が短くなり日当たり施工量が減少している傾向があり、24年度の歩掛かり改定に初めて反映させた。

こうした積算面の対応に加え、国交省は24年度から全工事・業務でウイークリースタンスを徹底するなど上限規制に対応した就業環境の改善に注力。工事関係書類の業務削減に向けた新たな支援メニューとして、各地方整備局のホームページなどで受注者からの相談を受ける「2024働き方改革対応相談窓□(仮称)」を設置する。

工事書類スリム化の全面展開や、工事検査書類を従来から3割程度に削減する「書類限定検査」の原則化に加え、書類関係業務の外注に要する経費などを新たに調査し積算のさらなる適正化を推進する。