議員立法である公共工事品質確保促進法(品確法)の改正に向けた本格的な議論が8日、キックオフした。自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)が、建設業関係9団体から働き方改革などの課題をヒアリングするとともに、品確法改正を目的としたプロジェクトチーム(PT)の設置を決めた。今後は議論の場をPTに移し、2024年の次期通常国会への改正法案提出を見据えながら、政府や業界団体と集中的に検討を進める。
品確議連が同日に東京都千代田区の参院議員会館で開いた第16回総会で、24年4月から時間外労働の上限規制が建設業に適用される「24年問題」を踏まえた担い手確保と働き方改革、賃上げ、価格変動対応、生産性向上などをテーマに、▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽全国中小建設業協会▽建設産業専門団体連合会▽全国建設産業団体連合会▽建設コンサルタンツ協会▽全国地質調査業協会連合会▽全国測量設計業協会連合会▽全国建設労働組合総連合−−の9団体をヒアリングした。
日建連は、上限規制の順守に向けて取り組みを進めてきた結果、会員企業の土木工事現場で4週8閉所以上を達成した割合が22年度に6割近くまで上がったものの、「土木技術者の時間外労働削減は進んでいない」と指摘。その要因として、会員企業へのアンケート結果で「当初発注工期が短すぎる」「発注者側から過度な書類作成を要求される」「発注者が作成すべき書類を受注者が代わりに作成している」が多く挙がっていることを説明した。
全建は、上限規制の順守に必要な取り組みとして、適正な工期の設定、施工時期の平準化、精度の高い設計に基づく発注、 書類の削減、設計変更に要する業務での受発注者間の役割分担適正化などを求めた。全測連は、測量設計業も担い手不足が深刻化しているとし、 若年者の人材確保に向けて測量法改正による資格制度の改革が必要と訴えた。
総会では、ヒアリングで挙がった課題の解決策を集中的に議論する場として、「公共工事品質確保法改正PT(仮称)」の設置を決定した。PTのメンバーは業界団体も参画する形で今後選定する。法改正で対応する課題と運用見直しで解決可能な課題に振り分けた上で、法改正の内容を今後検討する。
ヒアリングを総括した根本会長は、24年問題を踏まえた働き方改革への対応が急務との考えを示し、適切な工期の設定や工事書類の削減などを強化が必要な取り組みの具体例に挙げた。また、「小規模な市町村に品確法の趣旨が十分浸透していない」と指摘し、小規模な市町村を中心とした地方自治体発注のさらなる適正化にも意欲を示した。
幹事長の佐藤信秋参院議員は、資材価格高騰対策の実態を把握する観点から、スライド条項の適用状況を品確議連に報告するよう出席した各省庁に求めた。
総会終了後に取材に応じた佐藤参院議員は、全測連から要望のあった測量法改正について「測量法だけを取り出して改正しようとすると、法律の数的に一つの国会で通すのは難しい。担い手3法(品確法、建設業法、入札契約適正化法)ではなく、4法や5法でもいいと思う」と述べ、政府とともにPTで議論した上で品確法などと一体的な改正を目指す考えを示した。