自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)は30日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で総会を開き、議員立法である公共工事品質確保促進法(品確法)の改正を視野に入れながら、政府が進める政策を踏まえて公共工事の問題点と解決策を今後検討する方向性で一致した=写真。2023年内にも議連の下にプロジェクトチーム(PT)を設置して集中的に議論することを選択肢の一つとし、具体的な議論の進め方を今後詰める。
年内にも集中議論
総会終了後に取材に応じた根本会長は、品確法の枠組みで考慮すべき事項として▽働き方改革▽DX(デジタルトランスフォーメーション)▽女性活躍−−の三つを例示し、「こうしたものを大きな視点で捉えながら、いまの時代が目指す方向の中で制度を見ていく必要がある」と指摘した。その上で「全体の方向性をまとめた後に、運用面で対応することと、法律に書き込むことを整理する」と話し、公共工事の問題点と解決策を集中的に議論する方針を示した。
国土交通省は中央建設業審議会と社会資本整備審議会の基本問題小委員会で、建設業法改正などを念頭に、持続可能な建設業に向けた制度的対応を議論している。品確法を改正することになれば、14年の担い手3法、19年の新・担い手3法と同様に、閣法である建設業法などとの一体的な見直しになる可能性がある。
総会では、幹事長の佐藤信秋参院議員が「積算価格イコール予定価格で、それを超えてはいけないという仕組み自体どうなのかと私は思う」と予定価格の上限拘束性について問題提起した上で、入札不調・不落が発生した案件の速やかな契約締結に向けた運用改善の実務的な検討が今後必要と指摘した。
測量設計分野の制度改正が必要との意見も上がり、事務局長の梶山弘志衆院議員は「測量設計分野は人材難。新しい技術も入ってきているので、品確法の見直しに併せて測量法など見直しの可能性・必要性を検討いただきたい」、事務局長代理の足立敏之参院議員は「測量設計分野はDXをかなり頑張っている。そこも品確法改正に盛り込んでもらえれば」と話した。
総会には国交省幹部も出席し、国交省の取り組みを説明するとともに、議員の質問に回答した。林正道国交省官房技術審議官は、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」の取得など、女性活躍の推進に取り組んでいる企業を直轄土木の総合評価方式で加点する措置を24年度にも講じる方向で検討していることを明らかにした。