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新聞記事
令和5年6月15日 建設通信新聞
建設通信新聞

“ポスト5か年”に道筋
改正国土強靱化基本法が成立
佐藤参院議員 新対策前倒しに意欲

「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の後継となる“ポスト5か年対策”の在り方に道筋がついた。政府による国土強靱化の中期計画策定を定める改正国土強靱化基本法が14日の参院本会議で可決、成立した。自民、公明両党による与党PT(プロジェクトチーム)を立ち上げ、建設業界や地方自治体からの後継対策への根強い要望を受け止めながら議論を主導してきた佐藤信秋参院議員は日刊建設通信新聞社などのインタビューに応じ、懸念される大規模災害を念頭に「(国土強靱化は)やり続けなければならない」と強調。加速化対策の5年目を待たず、1年前倒しで新たな計画を進めたい考えを明らかにした。

議員立法による改正法は、政府が「国土強靱化実施中期計画」を策定することを法定化した。計画には期間や国土強靱化施策の内容・目標に加え、特に推進が必要な施策はその内容と事業規模を明記する。

これまでの同法では国の強靱化政策の指針となる「国土強靱化基本計画」の策定を定めていたが、加速化対策はそうした法的な根拠がなく閣議決定のみで実行されていた。改正法で政府の計画策定を規定したことにより、加速化対策に相当する上乗せ分の計画にも法的な根拠が与えられ、その継続性が担保された。

改正法では「国土強靱化推進会議」の設置も定めた。中期計画案の作成時に、学識経験者で構成する同会議への意見聴取を政府に義務付ける。

加速化対策は全体事業規模15兆円のうち、3年目となる2022年度第2次補正予算までに7割近くの約9.6兆円を措置した。4年目もこれまでと同等の規模を確保した場合、最終5年目は大幅な規模縮小が見込まれることから「5年目に新たな計画を出発させたい」と展望を語る。

中期計画の予算措置は財務省との折衝次第だが、目指すのはあくまでも当初予算での確保に他ならない。中期計画の名称に“加速化”のキーワードを使わなかったのも、当初での予算確保を見据えてのことだという。「“加速化”としたらこれまでと同様に補正予算で良いとなりかねない。『国土強靱化実施中期計画』とすることで当初予算での確保が読めるようにした」と説明する。

災害が激甚化・頻発化する中、市民生活や社会経済活動の安全・安心を確保するため、国土強靱化の重要性はますます高まっている。地震を例にとっても、南海トラフ地震や首都直下地震の切迫性は増している。「(国土強靱化は)どの程度までやったら大丈夫ということはない。営々とやり続けるしかない」と説く。

併せて、日本経済を下支えする観点からも建設投資が不可欠とし、そのためにも民間投資の呼び水となる公共投資の必要性を強調する。「国が投資をしなければ民間も投資をしない。これ以上公共投資を減らすわけにはいかない」と危機感を募らせる。

建設投資の経済への寄与は、名目GDP(国内総生産、輸出を除く)の推移との比較からも明らかとなる。10−12年度平均と18−20年度平均を比べると、名目GDPの増加額は29.6兆円で、建設投資の増加額はこの71%に当たる21.0兆円に上る。「建設投資を削ったらGDPは下がってしまう。日本という国が世界から置いていかれることになる。建設産業だけではなく、ふるさと(地域)を守るため、日本全体を守るためにも必要だ」と力を込める。


建設通信新聞

強靭化法改正受けてコメント

継続的強靭化に期待
日本建設業連合会 宮本洋一会長

14日、国土強靭化基本法の改正法案が、国会で可決・成立いたしました。与党におかれましては、昨年11月に立ち上げられた国土強靱化政策の新たな方向性を議論するプロジェクトチームにおいて精力的に議論を重ねていただき、今国会の法案成立にご尽力いただきました。

これにより、現在の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」後も、法定化された「国土強靱化実施中期計画」に基づき、中長期的な明確な見通しの下に、継続的・安定的に事業費が確保され、より一層、迅速かつ強力に国土強靱化が推進されるものと期待しております。

改めて、法案成立にご尽力いただいた関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。

今後、政府において、国土強靱化実施中期計画が策定されることと存じますが、同計画の早期の策定とこれまで以上の予算の確保に、引き続きのご支援を賜りますようお願い申し上げます。

安心・安全の進展大
全国建設業協会 奥村太加典会長

今般、「国土強靭化基本法」の改正案が可決・成立しました。この法案には、現在執行されている5か年加速化対策の後継計画を含む「国土強靱化実施中期計画」を新たに法制化することが規定されています。

近年の気候変動により災害が頻発化・激甚化している中、この法改正により安全・安心な国を守るための防災・減災対策が大きく進展することが期待されます。取りまとめに当たり、大変なご尽力をいただいた国会関係者の皆さまには、心より感謝を申し上げます。私ども全建と47都道府県建設業協会は、会員企業が有する充分な施工能力を生かし、引き続き事業の執行に万全を期する所存であります。

早期計画策定に期待
全国中小建設業協会

国土強靭化基本法の改正法案が成立いたしました。これにより、現在の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」後においても継続的かつ安定的に取り組む「国土強靭化実施中期計画」に基づき、中長期的な見通しのもと、継続かつ安定的に事業費を確保されることは、国民にとっても非常に重要であります。

また、中小建設業界は、地域の災害時には住民の安全・安心を守ることを使命とし、地域貢献を果たすことがより可能となります。計画的な事業費の確保により、協力に国土強靭化が推進されるもとの期待しております。

今後、政府において国土強靭化実施中期計画により、事業規模等を策定される際には、現行計画を上回る事業費の確保と早期の計画策定を期待します。

早期計画策定に期待
全国中小建設業協会

国土強靭化基本法の改正法案が成立いたしました。これにより、現在の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」後においても継続的かつ安定的に取り組む「国土強靭化実施中期計画」に基づき、中長期的な見通しのもと、継続かつ安定的に事業費を確保されることは、国民にとっても非常に重要であります。

また、中小建設業界は、地域の災害時には住民の安全・安心を守ることを使命とし、地域貢献を果たすことがより可能となります。計画的な事業費の確保により、協力に国土強靭化が推進されるもとの期待しております。

今後、政府において国土強靭化実施中期計画により、事業規模等を策定される際には、現行計画を上回る事業費の確保と早期の計画策定を期待します。

強靭化の一層促進を
日本道路建設業協会 西田義則会長

今般、国土強靭化基本法の改正法案が、国会で可決・成立いたしました。これにより、現在の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」後も、法定化された「国土強靭化実施中期計画」に基づき、より一層、必要な国土強靱化が推進されるものと期待しております。

業界としても、将来の見通しをもって仕事ができる環境整備をしていただいたと考えており、法案成立にご尽力いただいた関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。

今後、政府において、「国土強靭化実施中期計画」が策定されることと存じますが、この「見える」中期計画の早期の策定と現行以上の予算の確保に、引き続きのご支援を賜りますようお願い申し上げます。