自民、公明両党は国土強靱化政策の新たな方向性を話し合う与党プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、17日に東京都内で初会合を開いた。来年12月で制定から10年を迎える国土強靱化基本法の見直しを議論。現行の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の後継となる5〜10年程度の新たな事業実施計画の策定とともに、中長期事業計画の位置付けとして法制化も検討していく。
与党PTはこれまでに国土強靱化政策の立案などに携わってきた両党の国会議員を中心に構成する。座長を自民党の林幹雄衆院議員、座長代理を公明党の赤羽一嘉衆院議員、事務局長を自民党の佐藤信秋参院議員が務める。
席上、あいさつした林座長は毎年のように各地で発生している自然災害を念頭に「国民の生命を守ることが国会議員の一丁目一番地の仕事」と強調。東日本大震災以後、培ってきた災害の知見や経験などを踏まえ、5か年加速化対策に続く新たな中長期事業計画の法制化を視野に議論していく方針を表明した。
続いて赤羽座長代理は国土交通相時代に100カ所以上の被災地を視察したことを振り返りつつ、今後の新たな災害リスクにも危機感をあらわにした。被災地視察の際、地元自治体の首長から5か年加速化対策や同対策の前段となる「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に多くの感謝の声が寄せられたエピソードも披露。林座長と同様、今後策定する事業計画の法制化が必要とした。
初会合は非公開。内閣官房国士強靱化推進室の村山一弥次長ら政府幹部も同席した。
国土強靱化基本法の見直しが中心となる今後の議論では、事業目標や事業規模を明示した5〜10年程度の新たな事業実施計画を検討する。その上で自治体や建設業界などから相次ぐ強い要望も踏まえ、新たな中長期事業計画の法制化を検討。将来にわたり安定した行政運営や企業経営が見通せるような財源の確保を後押しする。
政府によると、現行の5か年加速化対策の事業規摸は国費総額約7兆円に上る。このうち最初の21〜23年度の3年で約4兆〜5兆円を投じる見通しとなっており、最終年度の25年度の支出は大幅に減るとの見方が強い。佐藤事務局長は5か年加速化対策後の後継計画について、25年度から実質1年前倒しする形で始める必要性を述べている。