国土交通省は直轄工事に適用する積算基準と低入札価格調査基準を改定し、2022年度から適用する。直轄土木工事の予定価格算出に用いる積算基準は、最新の本社経費の実態を反映し一般管理費等率を変更。直接工事費1億円の河川工事を例にすると、予定価格を約210万円押し上げる効果がある。調査基準価格の計算式では一般管理費等の算入率を現行の「0・55」から「0・68」に引き上げる。
24日に開かれた自民党の自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(会長・根本匠衆院議員)で国交省が改定内容を報告した。一般管理費等率の見直しは積算基準で18年以来、調査基準価格が13年以来となる。
予定価格のうち工事価格は、直接工事費と間接工事費による工事原価と一般管理費等を足し合わせ算出している。現行で一般管理費等は工事原価に対応し7・47〜22・72%の率を用いている。工事規模が小さいほど高い率となっており、今回の改定で9・74〜23・57%に引き上げる。直接工事費1億円の河川工事の場合で約1・4ポイント引き上げられる計算になる。
ダンピング対策の実効性確保へ調査基準価格の計算式を見直す。国交省は都道府県などに改定内容を周知する文書を同日発出。中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルの見直しは追って行われる見通しで、地方自治体にも必要な対応を求めていく方針だ。
品確議連では国交省の対応を評価する声が挙がる一方、調査基準価格の改定で対象外だった業務の引き上げや、設定範囲(予定価格の70〜92%)の変更を求める意見もあった。国交省の廣瀬昌由官房技術審議官はそれらを「検討課題」としつつ、今回の改定で「相対的に一般管理費の占める割合が大きい小規模工事で調査基準価格が上がる」などと理解を求めた。
業務関係の歩掛かりの改定や新規制定の動向も報告。▽道路詳細設計(A)▽補強土詳細設計▽橋梁詳細設計▽地すべり調査−の4項目は、実態調査や最新技術基準を踏まえ改定。▽航空レーザ測量(地図情報レベル500)▽地すべり調査の地価水位測定−などの歩掛かりを新たに制定する。