国土交通省は3月1日から適用する公共工事設計労務単価を18日に公表したことを受け、技能労働者の適切な賃金水準を確保するよう建設業団体に要請した。同日の閣議後に会見した斉藤鉄夫国交相は、労務単価の引き上げが技能者の賃金上昇につながる好循環を継続的に生み出す重要性を強調。全国の建設会社の経営者に対し「今回の(労務単価の)改定が現場で働く方々の賃上げに直接結び付くように心からお願いする」と訴えた。=1面参照
不動産・建設経済局長名の要請文書を建設業団体に同日付で送付した。都道府県・政令市や主要民間発注者団体にも協力を要請。発注者、元請会社、下請会社の各関係者が新たな労務単価の水準を踏まえた適切な請負代金で契約し、技能者の賃金水準をさらに改善するよう働き掛ける。
斉藤国交相は会見で、プラス改定になったものの「製造業など他産業との比べて賃金水準はまだ低いレベルにある」と指摘。「政府の最重要課題として賃上げに向けた取り組みが進められている」と前置きした上で、単価引き上げと賃金上昇の好循環の継続へ「官民一体となって取り組みの一層の推進に努める」と決意表明した。
建設業団体への要請文書では元請会社に対し、技能者の隅々まで適切な水準の賃金が行き渡るよう最大限努めることを求めた。適正価格での下請契約を徹底し、2次下請以降の契約適正化を下請会社に要請するなどの対応も講じてもらう。法定福利費の適切な支払いと社会保険への加入徹底に関する指導も要請した。
下請会社へのしわ寄せや技能者の賃金低下につながりやすいダンピング受注を行わないよう、改めて徹底を要請。建設キャリアアップシステム(CCUS) の活用による技能者の処遇改善への協力も求めた。新労務単価の決定を受けた直轄工事のインフレスライド条項の適用内容も周知し、元下間で締結した請負契約の金額見直しなどに適切に対応するよう求めている。
都道府県と政令市には新労務単価の早期活用とともにダンピング対策の強化を要請。民間発注者団体には技能労働者の処遇改善に向けた取り組みへの理解を求めた。工事発注時には労務費や法定福利費、建設業退職金共済制度に基づく事業主負担額など、必要な経費を適切に見込んだ適正な価格での請負契約の締結も要請した。