10年連続の上昇となった公共工事設計労務単価を発表した斉藤鉄夫国土交通相は、18日の閣議後の記者会見で、建設企業に対して技能者の賃金水準を改善する取り組みの継続を求めた。製造業など他産業と比べて依然として低い水準にあるとの認識を示し、「全国の経営者の皆さまに今回の改定が現場で働く技能者の賃上げに直接結び付くように心からお願いをする」と呼び掛けた。政府が最重要課題に位置付ける「働く人への分配機能の強化」へ労務単価の上昇を軸とした好循環を目指す。
斉藤国交相は「労務単価の引き上げが現場の技能者の賃金水準の上昇につながる好循環が持続されるよう、官民一体での取り組みを推進する」と表明した。その上で、建設企業に対して「元請け、下請けの立場を問わず適切な請負代金による契約に努め、技能者の賃金水準をさらに改善してほしい」と続けた。
同省は3月から適用する新たな労務単価の決定を踏まえ、地方自治体や建設業者団体に向けて、同日付で技能労働者に対する適切な賃金水準の確保を要請した。建設業者団体には「現場を支える技能労働者の隅々まで適切な水準の賃金が支払われるよう、最大限努めること」など高次の下請業者を含めた賃金水準の引き上げを求めた。
自治体には新労務単価の早期活用を促すとともに、法定福利費の適切な支払いや社会保険の加入に関する指導を徹底するよう改めて要請した。
業界、自治体の双方に建設キャリアアップシステムによる技能者の処遇改善の取り組みも呼び掛けている。
昨年度と同様に、入札契約関係では3月1日以降に契約を結ぶ工事のうち、旧単価を適用して予定価格を積算しているものについて、新労務単価に基づく請負代金に変更する。2月28日以前に契約を結んだ工事のうち、3月1日にエ期の始期が到来していないものには、インフレスライド条項の規定を適用する。
主な民間発注者団体にも労務単価の引き上げを周知した。民間事業は労務単価とは直接関係ないが、建設分野の品質確保や担い手確保に向けた動きを共有し、適正価格での工事発注や法定福利費の支払い、社会保険の加入徹底、適正な工期設定に伴う必要経費の確保などへの協力を要請している。