2022/2/2(水)
新聞記事
令和4年2月1日 建設通信新聞
建設通信新聞

賃上げ加点「間口広げなければ認めない」
制度開始に待った
財務、国交省とぎりぎり攻防
佐藤信秋品確議連幹事長

自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)の佐藤信秋幹事長(参議院議員)は31日、建設通信新聞の取材に対し公共工事や役務で開始される、総合評価での賃上げ企業に対する加点について「賃上げ自体には賛成」と前置きしたうえで、「(多くの中小企業でも)手を挙げることができるよう間口を広げなければ(今回の加点枠組みを)認めない」と断言した。建設業界の実態を踏まえ、財務省とぎりぎりの交渉を続ける佐藤議員の今回の発言は、緊急メッセージ、意思表明と言える。

佐藤議員は12月、各省庁に対する財務省通知に基づき賃上げ企業に対し政府調達の総合評価で加点する枠組みがこのまま中小企業まで適用された場合、「▽実効可能性▽ごまかし▽手を挙げない企業への実質ペナルティ――という3つの問題がある」として、すでに財務省らと制度設計変更・改善へ向けた折衝を進めていることを明らかにした。

指摘する実効可能性とは、賃上げ確認で使われる、「法人事業概況説明書」の労務費、役員報酬、従業員給料の合計額で判断する枠組みだが、これには賞与や超勤手当などが含まれ、受注動向と繁閑状況も大きく影響を与えるほか、
1.5%賃上げハードルを越えるために役員報酬加算で対応する可能性も否定できないことが理由。

佐藤議員は「中小企業の賃上げについては、1人当たりの所定内賃金、あるいは基本給が1.5%アップすれば良いということを原則にすべき」としたうえで結果的には「多くの企業が賃上げに取り組めるよう、間口を広くすべき」としさらに、「半年後には来年度に備え、4月からの枠組みについてフォローアップすることも最低条件だ」とした。

また佐藤議員が問題視する3つ目の問題、手を挙げない企業のペナルティーは、手を挙げた企業が総合評価で加点されると、「以前から処遇改善を進めている企業で今回手を挙げることが難しかった企業の競争条件が最初からハンディを負うという、実質のペナルティを受けることになる」と問題指摘した。地道な取り組みをこれまで行ってきた企業が救われないことへの問題提起。


佐藤議員が財務省らに提起した問題・課題(1月17日時点)

  1. 一部現場管理費を現場管理費から一般管理費へ徐々に計上変更すれば続けられるのが良いか
  2. 災害、除雪等での再雇用や超勤が多い年から少ない場合の人員減や人件費減にどう対応するのか
  3. 災害等からの復興、復旧が一段落した時の人員合理化との兼ね合いをどう考えるか
  4. そもそも受注増を目がけて、少人数の会社が、毎年少しずつ人員増をしたら、加点が続けられるのを良いと判断するのか
  5. 役員報酬まで入れるのか。税控除では入れていないのではないか。
  6. せめて、春闘のベースアップと同様、基本給を対象とするのではないか
  7. 加点、減点が他の項目と比べ大きすぎるのではないか