自民党・公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)は18日、東京・霞が関の参議院議員会館で第12回総会を開いた。会議では岸田文雄首相が掲げる新しい資本主義と歩調を合わせ、建設分野での賃上げや処遇改善のためのさらなる取り組みへの意見が集中した。議連会長の根本匠衆院議員が公共工事設計労務単価・設計業務委託等技術者単価の引き上げや低入札価格調査基準・諸経費の改正の必要性を訴えるなど、賃上げへの政策的後押しを求める機運が高まっている。
根本会長は「岸田内閣の下で新しい資本主義を打ち出したが、品確法(公共工事品質確保促進法)こそ新しい資本主義の先駆けだと思っている。昨年の岸田首相の所信表明演説で建設業の賃上げが全産業平均を超えているという話があったが、これからやらなければならないのは労務単価・技術者単価の引き上げや低入調査基準の考え方、諸経費率の改正だ」と建設分野での好事例をさらに展開する必要性を説いた。
4月からの賃上げ企業に対する総合評価での加点措置については評価する意見が大勢を占めたが、「予定価格の適正化」(宮内秀樹議員)や「賃上げに対する経営事項審査での評価」(井林辰憲議員)、「一般管理費の重点化による低入札価格調査基準の引き上げ」(中村裕之議員)、「一般管理費率.技術管理費率のアップ」(足立敏之議員)など、さらに踏み込んだ措置を求める声が相次いだ。
議連幹事長の佐藤信秋参院議員は、建設業13団体から現場の処遇改善を始めとする要望が寄せられていることを紹介した。各団体から賃上げの原資としての労務単価、技術者単価、積算基準における現場管理費・一般管理費の引き上げやダンピング(過度な安値受注)対策としての低入札価格調査基準などの見直しなどが求めている。
議員からの指摘に対して国土交通省は「公共工事設計労務単価は現在調査中だ。現状と労働市場を把握した上で設定していきたい」(長橋和久不動産・建設経済局長)、「一般管理費は随時見直している。しっかりした対応を取っていきたい」(廣瀬昌由官房技術審議官)と応じた。
会議の締めくくりで根本会長は「建設業では品確法を始め具体的な(改善への)手だてがある。その意味で政策手段をいかに活用するかによってこの分野は大きく前進できる」と呼び掛けた。