自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(会長・根本匠衆院議員)が18日に東京・永田町の参院議員会館で開いた総会で、建設業従事者の賃金引き上げが業界全体に波及するような方策を求める声が相次いだ。総合評価方式を活用した政府調達で賃上げを行う企業を加点評価する措置が来年度に運用開始されることを多くの議員が評価した一方、賃上げを担保するため予定価格や低入札価格調査基準の引き上げが必要との指摘があった。
総会では国土交通省が改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用状況などを説明。昨年10月発足の岸田政権が「新しい資本主義」の実現に向け注力する「賃上げ」関連政策として、賃上げを行う企業を税制や政府調達で優遇したり下請への価格転嫁を円滑化したりする取り組みにも触れた。
根本会長は冒頭、「公共工事品確法の理念を踏まえ建設業では担い手の長期的育成や処遇改善、働き方改革に取り組んでおり『新しい資本主義』を先取りしている」と意義を強調。さらに取り組むべき課題として労務単価・技術者単価の引き上げや低入札価格調査基準の見直しを挙げた。
総合評価方式の新たな加点措置を巡って根本会長は「どう効果や影響があるか、きめ細かなシミュレーションが必要」と指摘。その上で、業界全体の賃上げにつながる環境整備を具体的措置に落とし込んでいく必要性を強調した。出席議員からは「賃金アップに合わせた予定価格で発注されなければ結果的に賃上げにつながらない」などと声が挙がった。
厳しさを増す担い手確保を後押しするため、調査基準価格の算定式で一般管理費率を引き上げる必要性を複数議員が指摘。企業の賃上げを促すには経営事項審査(経審)で評価するべきだとの提案もあった。
国交省の長橋和久不動産・建設経済局長は技能者の賃金引き上げへ官民双方で取り組んでいる現状を説明しつつ「まずは実態調査を通じて適正な(公共工事設計)労務単価を設定したい」と話した。経審改正に関しては「賃上げという観点で議論できるかどうか考えたい」と前向きに検討する考えを示した。同省の廣瀬昌由官房技術審議官は調査基準価格の一般管理費率について「随時見直してきており、きちっと状況を見て対応していきたい」と述べた。