自民党・公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)は16日、公共工事設計労務単価・設計業務委託等技術者単価の引き上げなど、円滑な施工確保と建設業の担い手確保に向けた施策を推進するよう赤羽一嘉国土交通相に要望した。議連会長の根本匠衆院議員や最高顧問の野田毅衆院議貝らが大臣室を訪れ、要望書を手交した。
赤羽国交相への要望後、取材に応じたは根本会長は、「(労務単価などの引き上げは)建設業の長期的な担い手の確保の観点から非常に大事なので、賃金上昇の好循環をこれからも続けていただきたい」と要望内容を説明。赤羽国交相は「しっかりと取り組んでいく」としたことを明らかにした。
8年連続で上昇を続けてきた設計労務単価は2020年度に全職種平均の上昇率が過去8年で最小となるなど一服感が出ていた中で、新型コロナウイルス感染症が直撃した。各種統計において民間の建築などの発注で影響が確認されつつあることから、建設業団体では賃金を含めた技能者の処遇改善に歯止めがかかることを懸念する声が相次いでいた。大臣要望に先立つ15日に開催した品確議連の総会でも、参加した議員から労務単価で積極的な対応を求める声が上がっていた。
根本会長は「公共事業の労務単価を引き上げることで民間にも波及していく。公共事業はリーディングセクターなので、しっかり取り組むことで懸念にも対応していける」との考えを示した。
要望書では、労務単価の引き上げのほか、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を始めとする今後の公共工事の円滑な施工確保を図るため、適正な予定価格の設定や設計変更の実施、ダンピング(過度な安値受注)対策の徹底を求めた。
現場の実態を踏まえたICT活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などの生産性向上、建設キャリアアップシステムの普及・促進による処遇改善など、公共工事品質確保促進法(品確法)の基本理念である公共工事の中長期的な担い手の確保・育成を進めるための施策の促進・充実も明記している。