「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の初年度分の経要を盛り込んだ、2020年度第3次補正予算の成立を受け、国土交通省は今後の事業執行に万全を期す。強靱化投資の円滑かつ着実な執行のためへ新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて20年5月にまとめた入札契約・設計積算での対応策の継続を基本に、一部内容を拡充して施策を実施する。直轄と歩調をあわせて円滑な執行が求められる地方自治体に対しても新たな対応策を示すことで、徹底的な施工確保策を講じていく。
1月29日の閣議後の会見で赤羽一嘉国交相は、「激甚化・頻発化する自然災害から国民の命と暮らしを守ることは最重要の使命であり、新型コロナ下においても補正予算で措置された公共工事予算の迅速な執行とともに円滑な施工を確保することが重要だ」と強靱化対策と新型コロナ対策の両立の必要性を強調。
その上で、「感染症対策にかかる費用を上乗せする柔軟な契約変更を徹底するなど感染拡大防止に万全期しつ、市場実態を反映した適正な予定価格の設定や適正な工期の設定、施工時期の平準化などについて、関係省庁や地方公共団体などと連携し取り組む必要があることから、閣議後の閣僚懇談会で私から関係閣僚に協力をお願いした」ことを説明した。
同省は3次補正予算成立にあわせて、各地方整備局などに円滑な発注・施工体制の確保に向けた具体的対策を通知した。
現場で使用するマスクやインカム、シールドヘルメット、消毒液、赤外線体温計などの購入・リース費用、遠隔臨場やテレビ会議のための機材・通信費など、新型コロナウイルスの感染防止にかかる対策費用を引き続き設計変更の対象とする。
不調・不落対策として、指名競争・総合評価落札方式やフレームワーク方式の活用も記載。災害復旧や新型コロナ対策だけでなく、競争参加者が少数と見込まれる技術的難易度の低い工事で選択することができる。
その他、入札契約手続きにおける押印の省略などについて追記している。
国交省はへ直轄だけでなく、地方自治体の発注工事においても円滑な施工確保のための対策を要請した。直轄での対策を参考にしつつ、ダンピング(過度な安値受注)対策や地元建設業団体などとの連携といった自治体レベルでは十分に対応できていない部分に踏み込んだ。
例えば、地元建設業団体の連携では、国や都道府県・政令市レベルは定期的な意見交換の場が設定されている一方、市町村で常態的な連携体制が構築できている団体は多くない。意見交換などの連携を要請することでへ市町村が各地域の受注環境を把握し、工事の円滑な発注や入札契約の適正化につなげていく。