政府は21日、2021年度当初予第案を閣議決定した。政府全体の公共事業関係費の総額は、前年度から7876億円の減額となる6兆0695億円。防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策などの臨時・特別の措置が20年度で終了したことで、当初予第は11. 5%の減少となった。ただ、3カ年緊急対策の後継計画である5カ年加速化対策は、20年度第3次補正予算で全額が措置されていることから、21年度の発注規模は確保している。
公共事業関係費を臨時・特別の措置を除く通常分で比較すると、前年度から2600万円の微増となった。流域全体での治水対策や新技術を活用した老朽化対策など、防災・減災、国土強靱化関連に重点的に配分した。
防災・減災以外では、建設業の生産性向上を促進するため、大規模な直轄土木工事での設計の3次元デジタル化を原則とする。また、国庫債務負担行為(2カ年国信、ゼロ国債)の活用を拡充して、公共工事の施工時期の平準化をさらに後押しする方針だ。
省庁ごとの公共事業関係費は、中核となる国土交通省が5兆2586億円(前年度比6782億円減)、農林水産省が6995億円(994億円減)、環境省が495億円(70億円元)、厚生労働省が171億円(20億円減)、経済産業省が21億円(10億円減)。各省ともに20年度当初予算での臨時・特別の措置分が減少している。
“通常”予算額6年間横ばい
21−25年度を対象期間とする「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の20年度の予算額は、国費1兆9656億円で、うち公共事業関係費は1兆6500億円だった。21年度当初予算と一体的に編成することで、3か年緊急対策の終了に伴う発注規模の急激な落ち込みを回避した格好だ。
一方で、近年の公共事業関係費の推移をみると、補正予算や臨時・特別の措置を除く“通常”予算額は15年度から6年間連続で横ばいが続いている。国土強靱化や老朽化のための対策予算はあくまで、緊急的・時限的な措置という姿勢が読み取れる。
安定的な公共事業関係費の確保の視点からは、翌年以降の前例となる当初予算での措置が重要となる。今回の“崖”の回避に安心することなく、22年度以降の予算に注目する必要がある。