政府は11日、総事業費約15兆円に上る「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を閣議決定した。2021年度から5年間で風水害や大規模地震への備えや、インフラの老朽化対策など計123項目の対策を推進。国土交通省では9・4兆円規模の53対策を重点的、集中的に講じる。菅義偉首相は「省庁、官民の垣根を越えて、災害に屈しない国土づくりを進めるようお願いする」と関係閣僚に指示した。
赤羽一嘉国交相は同日の閣議後会見で「被災地に足を運ぶと激甚災害の頻発化、被害の深刻さを痛感する。抜本的な防災・減災対策を構築しながら、それを実行するための裏付けとなる中長期的な予算措置が必要だ」と新たな対策の重要性を強調。「防災・減災が主流となる安全・安心な社会づくりに省の全力を挙げて取り組む」と述べた。
小此木八郎国土強靱化担当相は記者会見で「改めて国民が安心して暮らせる災害に屈しない国土づくりに取り組んでいく決意をした。対策の実施に当たっては私自身が先頭に立ち、省庁や自治体の垣根を越えて、国家百年の大計として災害に強い国土づくりを行っていきたい」と力を込めた。
対策の事業規模は財政投融資や民間設備投資なども含め15兆円程度。内訳は▽激甚化する風水害や切迫する大規模地震などへの対策(78対策)=12・3兆円▽予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策(21対策)=2・7兆円▽国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化などの推進(24対策)=0・2兆円。
激甚化する災害への対応として流域治水対策や道路ネットワークの機能強化、鉄道や港湾などの耐災害性の強化、予防保全型のメンテナンスへの転換に向けた集中的な老朽化対策などを実施。こうした施策をより効率的に進めるためDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に関する対策なども盛り込んだ。
計123対策ごとに5年後(25年度)の達成目標や中長期の目標を設定。対策の期間中、進展状況を定期的にフォローアップし結果を公表する。
国交省は所管する道路や鉄道、港湾などの交通インフラ、河川や砂防などの防災関係インフラなどを対象に、強靱化の取り組みのさらなる加速化、深化を図る。事業規模は財政投融資などを含め9・4兆円程度。このうち風水害・地震対策(26対策)に7・7兆円、老朽化対策(12対策)に1・5兆円、デジタル化の推進(15対策)に0・13兆円を充てる。