日本建設業連合会の山内隆司会長と宮本洋一、押味至一両副会長は16日、自民党3役を訪問し、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の5年延長による強靱化投資の当初予算での別枠確保、コロナ禍に伴う景気低迷へのカンフル剤となる公共事業を柱とする大型の補正予算編成などで構成する、「公共事業予算の確保に関する要望」を提出した。公共事業の円滑な執行に向け、「建設業は公共工事の施工余力を十分に有している」ことを合わせて伝えた。
要望活動には佐藤信秋、足立敏之両参院議員が同行。佐藤勉総務会長、下村博文政務調査会長、ニ階俊博幹事長の順で面談した。
日建連側は「日本の社会資本は概成している」「わが国の対GDP(国内総生産)比公共資は諸外国に比べて相対的に高い」とする意見に水を向けつつ、自然災害が頻発・激甚化する中で「日本は他国に比べて災害リスクが格段に高いことを鑑みると、国民の生命・安全を守り、被災による経済損失を最小限に抑えるために、防災・減災、国土強靱化の取り組みを今後も継続して強力に実施することが重要」と説明した。
また、建設産業が国土の守り手、経済・社会の発展の下支えといった社会的使命を果たしていくには、将来の担い手の確保・育成が必要だとし、日建連が推進する週休2日や建設キャリアアップシステム、i-Constructionなどによる働き方改革、生産性向上を紹介。その上で「若者が希望と誇りを持って建設業界で働いていくためには、将来に明るい見通しを持てることが必要であり、そのためにも当初予算における安定的かつ持続的な公共事業費の増額が求められる」との考えを示した。
公共事業がもたらすフロー、ストック効果はコロナ禍の影響で冷え込む民需、今後の経済成長にも効果を発揮すると加えた。
さらに「土木事業の受注工事高が近年横ばいであるのに対し、完成工事高はICTの活用などにより大輻に向上している」とし、建設業全体で施工余力が確保されていると強調した。
主な要望項目は、▽新たに2021年度から5か年の防災・減災、強靱化対策を閣議決定するとともに、当初予算で3か年緊急対策の実績を上回る必要かつ十分な規模の公共事業費を別枠で確保すること。また、インフラの維持管理、更新などの観点から、当初予算での公共事業費の増額を図ること▽コロナ禍で落ち込んだ民間投資の喚起、持続的な経済成長に向け、公共事業を柱とした大型の20年度補正予算を編成すること▽デジタルトランスフォーメーション(DX)の普及、生産性向上などにつながる技術開発投資に重点配分すること▽公共工事の品質確保を推進するため、国、自治体で必要な知識、技術を持つ職員の確保・育成、体制の充実・強化を図ることと――なっている。