国土交通省は全国・全職種の単純平均で2・5%の引き上げを行う公共工事設計労務単価の改定を踏まえ、技能労働者の適切な賃金水準を確保するよう建設業団体に要請した。単価引き上げによる予定価格の上昇を技能労働者の処遇改善にもつなげるため、元請には適正な価格での下請契約の締結徹底を、下請には技能労働者の賃金水準の引き上げを図るよう求めた。
土地・建設産業局長名の通知文書を建設業110団体に14日付で送付した。この中で、2019年6月に新・担い手3法が成立し、公共工事品質確保促進法の基本理念に適正な請負代金による契約締結や、公共工事などの従事者の賃金への配慮などが新たに規定されたと明記している。
技能労働者の賃金は13〜18年の6年間で約18%上昇し他産業と比べて高い伸び率だが、賃金水準は製造業と比べ低いと指摘。政府から経済界に対し、賃金の継続的な引き上げに向けた取り組みが要請されていることを踏まえ、適切な賃金水準を確保し、技能者の処遇改善を図るよう改めて要請した。
3月1日適用の新労務単価には、引き続き社会保険加入に必要な法定福利費相当額が反映されていることを踏まえ、下請に示す見積もり条件でその内訳を明示した見積書の提出を促すとともに、提出された見積書を尊重して下請契約を結ぶなどの対応を求めた。
労務単価の上昇を若年労働者の賃金引き上げと社会保険加入につなげ、処遇改善を一層推進するよう要請。賃金水準の低下につながりかねないダンピング受注の取りやめなど適正価格での契約の徹底も求めた。
政府が18年7月に改定した適正な工期設定ガイドラインに基づき適正工期で請負契約を締結するとともに、労務費や法定福利費、建設業退職金共済制度に基づく事業主負担額など必要経費にしわ寄せが生じないよう適正な請負代金で請負契約を締結することも求めた。
都道府県・政令市や主要民間発注者団体にも協力を要請。都道府県・政令市に対しては新労務単価の速やかな活用に努め、予定価格を適正に設定することを求めた。都道府県には管内の市区町村への周知徹底も要請した。
民間発注者団体には技能労働者の処遇改善に向けた取り組みへの理解を求めた。国交省調査の結果、民間工事では公共工事と比べ法定福利費を十分に受け取れない工事割合が多い傾向が現れたことから、法定福利費を適切に含んだ額での請負契約の締結を要請した。
各府省庁、独立行政法人などにも、国交省土地・建設産業局建設業課長名の文書を送付。技能労働者の確保・育成のため適切な賃金水準が確保できるよう要請した。