政府は20日、2020年度当初予算案を閣議決定した。政府全体の公共事業関係費は、6兆9000億円で前年度とほぼ同水準を維持。防災・減災、国土強靱化の推進や老朽化対策を中心に公共事業関係費を安定的に確保するという基本的なスタンスを堅持した。他方、臨時・特別の措置を除く“通常”予算額は横ばいが続いている。必要な予算額をあらかじめ示した上で、中長期的な投資計画を示すべきだという声も与党などから上がっており、臨時・特別の措置が終了する21年度以降の公共事業関係費の確保策が焦点となる。
公共事業関係費の総額は、前年度から528億円の減額となる6兆8571億円。臨時・特別の措置を除く通常分は73億円増の6兆0669億円で微増となったものの、臨時・特別の措置が601億円減の7902億円だったため、全体として0.8%の減少となった。
省庁ごとの公共事業関係費は、中核となる国土交通省が5兆9368億円(うち、臨時・特別の措置は6801億円)、農林水産省が7989億円(同1000億円)、環境省が565億円(同70億円)、厚生労働省が191億円(同20億円)、経済産業省が31億円(同10億円)。各省とも通常分が微増となり、臨時・特別の措置が減少という傾向がおおむね共通している。
臨時・特別の措置については、19年度がピークとなるように設定されていたことから、20年度が前年比で減少することは計画どおり。これから注目すべきは、通常分、臨時・特別の措置、補正追加を積み上げた8兆5000億円という19年度の水準をいかに継続していくかだ。
臨時・特別の措置を充てている「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」に乗り出すことになった発端は、これまでの想定を上回る大規模な自然災害の発生だ。その想定を上回る災害は、直近5年間を振り返ってみても、14年の広島土砂災害、15年の関東・東北豪雨、16年の熊本地震17年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨、ことしの台風19号と、ある年だけ“特別”に発生しているわけではないことが分かる。
そうした状況を踏まえれば、気候変動による災害リスクの増大に加えて、インフラ老朽化対策などへきょうじの集中的な投資は不可欠だと言える。既存ストックの使い方の見直しや個別補助による投資の効率化も進めるべきであり、防災・減災、国土強靱化を含めた公共投資の必要な水準の確保に取り組むことが求められている。