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2019/11/27(水)
新聞記事
令和元年11月22日 建設通信新聞

[フォーカス]
手すり先行工法等の義務化

元請・下請団体は反対鮮明
決着は政治の場へ

手すり先行工法を法律で義務付けし、違反した場合には罰則規定が適用される「手すり先行工法導入の法制化」と「足湯組み立て時などにおける点検実施者案件の法制化」、いわゆる手すり先行足場の義務化(立法化)の動きが急浮上、いわゆる下請け業界を慌てさせている。職人のために成立した「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(建設職人基本法)」改正素案に、手すり先行足場と足場組み立て点検の第三者による安全点検義務付けが盛り込まれた。ことし春、いったんは消えたと思われていた手すり先行足場義務付けはなぜ急浮上したのか。

20日、全国建設業協会が開いた全国会長会議で『手すり先行工法等の義務化の動きについて』と題したペーパーに沿って説明をした全建幹部は最後に、「立法化の動きが進んでいる。今後、皆さんの地元での対応をお願いすることもある」と結んだ。

急きょ、政治判断の場に持ち込まれた手すり先行工法義務化に対し、全建として異論の姿勢を打ち出していくことを表明した瞬間だった。

全建など元請けと下請け団体事慌てさせたのは、10月下旬から11月中旬にかけ、義務化を柱にした建設職人基本法改正の動きが一気に進んだからだ。10月下旬、建設職人基本法超党派フォローアップ推進会議会合を踏まえ、11月8日には「建設職人基本法改正原案検討委員会」が開かれ、19日には関係省庁および関係団体の改正ヘ向けたヒアリングが行われた。

ヒアリングを呼び掛けられた各団体の多くは、もともと性急な罰則付きの法制化に慎重であり、2017年に議員立法で立案化された建設職人基本法施行から勢いづく、「手すり先行工法等の義務化」の動きは、ことし1月の議論で慎重論が大勢を占め、いったんは先送りとなったはずだった。

手すり先行工法義務化の直近の山場だった1月末。元請けと下請けの団体や、手すり先行工法を推進する団体、、メーカー、学識者どで構成する厚生労働省の「建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合」(蟹澤宏剛座長)で、委員2人からの義務化提案について賛成と慎重論が激突した。

議論を分かりにくくしているのは、義務化反対を鮮明にしてい元請けや下請けも、手すり先行工法の効果そのものを否定しているわけではない点だ。

しかし、議員立法の建設職人基本法改正をてこにした形で、安衛則改正の動きが再び現実味を帯びることになる。今後、仮に職人基本法改正で手すり先行工法と第三者点検に必要な法制上の措置を速やかに講じることが盛り込まれた場合、厚労省は具体的な措置として、省令である安衛則を改正しなりればならなくなるからだ。

これまで「手すり先行工法義務化」「第三者点検義務化」は、厚労省会合で正面からの議論を続けてきた。しかし議連をてこに議員立法の法律改正によって省令改正で罰則付き義務付けを目指すという、新たな展開に移った。今後は、政治がどう判断していくのか、建設産業界は注視していく必要がありそうだ。