日本建設業連合会(日建連)と全国建設議会(全建)、建設産業専門団体連合会(建専連)、住宅生産団体連合会(住団連)、全国中小建設業協会(全中建)、全国建設労働組合総連合(全建総連)の6団体が、工事現場の仮設足場からの墜落・転落事故防止を巡り、規制強化の動きに反対する要望活動を積極化している。手すり先行工法や第三者による足場点検の義務化を求める動きに反対する立場から、21日には各国体のトップらが東京・永田町の自由民主党本部を訪れ、林幹雄自民党幹事長代理に要望書を提出した。
足場からの墜落事故防止では、全国仮設安全事業協同組合(アクセス)が手すり先行工法の義務化などを要望。建設職人基本法超党派国会議員フォローアップ推進会議は、同工法の義務化などを盛り込んだ建設職人基本法の改正案をまとめており、開会中の国会に提出する動きがある。
墜落・転落事故では、建設業界も対策の重要性を認識している。ただ6団体は組み立て場所や足場の形状などにより、すべての足場を手すり先行で組み立てるのは難しいと指摘。足場からの墜落・転落事故の多くは安全帯の未使用が原因で発生している現状を説明し、安全帯の使用徹底などの法令順守を優先すべきだと訴えた。
足場の安全点検は、足場の組み立てに安全管理責任を負っているのは施工事業者であり、責任を負わない部外者に点検だけを委ねるのは現場に混乱をもたらすなどとして、安全点検実施者の要件を限定すべきではないとの見解を示した。
要望曹の提出後に会見した山内隆司日建連会長は「よくご理解いただいた。望んでいる方向にいくものと考えている」と手応えを示した。才賀清二郎建専連会長は「命綱にフックを掛けていないのが墜落・転落事故の最大の原因」とし、教育の必要性を強調した。
石井啓一公明党幹事長代行、小里泰弘自民党国土交通部会長にも要望した。