全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は7日、官公庁施設の整備で適正な利潤確保や工期設定の実現に向け、発注機関ヘの働き掛けを自民党議員に要望した。国と都道府県、市町村を対象に改善が必要な課題を列挙。会員企業へのアンケート結果を基に、一部の市町村の発注工事で残っている歩切りの根絶を強く求めた。
同日に東京・永田町の自民党本部で開かれた「宮公庁営繕を考える議員の会」で全建の山崎篤男専務理事が要望した。市町村では歩切りが改善傾向にあるものの、全建が10月にまとめた会員企業対象の「改正品確法に基づく『発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)』の運用状況等に関するアンケート」では市区の11%、町の9%、村で2%がまだ歩切りを行っているという結果になった。
市町村の課題として発注能力不足も強調。専門職員の増員、第三者機関の活用によるアドバイスやチェックが受けられるような体制整備を提案した。
要望事項では、国土交通省が導入している実勢価格や現場実態を反映した「営繕積算方式」と適切な請負代金を設定できる「入札時積算数量書活用方式」を、他省庁や地方自治体でも普及促進するよう明記。工事書類の簡素化に向け、発注機関ごとに異なる書式や提出資料を、国が主導して共通化するよう求めた。
都道府県が発注した議会案件の工事契約で設計変更や工期延長が認められないケースが多いと指摘し、改善を要求した。
山崎専務理事は10月に発生した台風15、19号などで会員企業が取り組んだ復旧・復興活動も紹介。「地域の守り手として災害対応をこれからも続けるには、適正な利潤と担い手の確保が必要だ。そのためにも発注者に建設業界の状況を理解いただきたい」と訴えた。