公共工事品質確保促進法(品確法)の改正へ、その取り組みが本格化することになりそうだ。3日の自民党・公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連、会長・根本匠衆院議員)の総会で佐藤信秋幹事長(参院議員)は、次の通常国会での改正を提案。公共工事契約適正化委員会の委員長を務める野田毅最高顧問(衆院議員)も提案に同調した。
6月22日に策定・公表した中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会「基本問題小委員会」の提言を受けて、国土交通省を中心に、その動きが加速している建設業法の改正をにらんだ発言とみられる。
喫緊の課題となっている長時間労働の是正や従事者の処遇の改善、限りある人材を効率的かつ効果的に活用する生産性の向上、地域の守り手である地域建設業の持続性の確保をテーマに制度インフラの再構築を提起している、この基本問題小委員会の提言を念頭に「働き方改革をどう進めていくか、次の通常国会での担い手3法の改正を提案したい」と力を込めた。
前回の品確法の改正は、2014年の入札契約適正化法、建設業法との一体改正、いわゆる「担い手3法」の制定ということになる。
それから4年余り。施行から5年をめどに、法律に基づく取り組み状況の確認や、必要に応じた措置を求めていることからも、改正を視野に入れた検討をスタートさせるタイミングにあると判断した。
「過去を振り返るだけでなく、前に向かってやっていく」(野田最高顧問)と語るように、国策としての推進が求められる働き方改革や、i−Constructionを軸にした生産性の向上など、新たなニーズへの対応も見込まれる。
担い手3法の最大のポイントは、公共工事における品質の確保を目的としてきた品確法の基本理念に担い手の中長期的な育成・確保を追加。適正な予定価格の設定や、ダンピング(過度な安値受注)の防止、計画的な発注、適切な工期設定・設計変更といった『発注者の責務』を明確化する中で、受注者(建設企業)の『適正な利潤の確保』にまで踏み込んだ点にあった。
運用指針の徹底など、担い手3法の趣旨が着実に浸透する中で、担い手の中長期的な育成・確保という産業政策としての視点を盛り込んだ品確法をいかに“深化”させていくのか。今後の検討に注目が集まることになる。