自民党の佐藤信秋参院議員は日刊建設工業新聞のインタビューに応じ、19年10月の消費増税を見据え18年度の早い段階に補正予算を編成する必要があると訴えた。2020年東京五輪以降の建設市場の動向にも目を向け、積極的な財政出動で「先々まで希望の見える形にしたい」とした。来年6月で施行から5年となる改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)を見直す考えも示した。
消費税率を8%から10%に引き上げる判断で決め手となるのは、19年度上半期の景気動向。佐藤議員は「特に4〜6月のデータが重要」と指摘し、景気の下支え効果がある公共事業費を18年度の早い段階で積み増すことが必要とした。
インフラ整備・管理の的確な実施という側面でも、麻生内閣時代(08年9月〜09年9月)の09年度予算の公共事業費7・1兆円と同規模程度を「年度トータルで確保することが最低限必要」だと強調。18年度予算の公共事業費6兆円を執行しながら、補正による追加措置が不可欠とした。
増税前の駆け込み需要による反動減や20年東京五輪後にも目を向け、「五輪開催の波及効果が少ない地方部も考慮した財政出動の『矢』を放ち続けられるよう、19年度予算からその兆しが見えるようにしなければならない」とも話した。
議員立法として成立した改正公共工事品確法の施行(14年6月)から間もなく4年。同法条文には、施行後5年で見直すことが明記されている。佐藤議員は「国土交通省での建設業法改正議論とも歩調を合わせて見直しを検討する」ことも明らかにした。
自民党公共工事品質確保に関する議員連盟(根本匠会長)の幹事長として、「地方自治体や建設業界などに意見を伺いたい」と述べ、フォローアップを通じて法改正に向けた課題を整理していく。
佐藤議員が掲げた見直しの視点は▽地域の建設産業に「守り手」として活躍してもらうための発注の在り方▽災害発生時の緊急作業を行う場合の契約の在り方▽現場で働く技能者の処遇改善−の3点。特に地域建設業界を巡り、「『限界工事量』を割り込む地域や、市町村単位で建設会社が1社もいないケースも出てきている」とし、災害や除雪への対応を含め、個別発注を超えた発注の在り方を模索する必要性も指摘した。落札率が予定価格を8〜9%下回る現状を踏まえ、「95%以上が定着するようにしたい」とも述べた。