建設業の魅力を高めるためのキーワードとして急浮上している「週休2日制」を定着させるためには改正品確法で規定した適正な工期設定の実行が必要条件となる。日本工業経済新聞社では自民党の佐藤信秋参議院議員にインタビューし、適正工期のあり方などを聞いた。佐藤議員は前提として発注者が国債や繰越明許を一層工夫し活用していく必要性を唱えた上で、それでも壁があれば実現できる仕組みを検討する考えを明らかにした。
―現場で週休2日制を定着させるためには、改正品確法で規定された適正な工期設定が不可欠だが、そのあり方について
佐藤 工期を適正にセットする場合、一番基本約な部分をきちんとするべきだと考えている。例えば10月に発注して、年度末の3月31日が工期といったケースはよくみられる。それが本当に、自然条件や現場状況を加味して、十分に実行可能なものとしているならば結構。ただ単年度主義の予算の締めとして3月末までにやってもらわなければならないというのは、適正工期ではないだろう。その場合にどういう発注の仕方をするか、関係機関には検討するように言っている。10月に発注して、積算してみたら標準的には翌年度の6月までかかるということであれば、それができるように工夫する必要がある。発注者が色々と検討した結果、それでも行政だけで取り組みができない部分があるとすれば、現場を大事に執行していくという観点から、仕組みを用意する。年度予算だから機械的に3月にするというのは止めてくださいと言うこと。今ある法律、制度の中で国債、翌債、繰り越しなど、まずは最大限の工夫そしてほしい。それでも壁を突破すべき部分があると言うのならば、実現できる仕組みを検討する。
―週休2日制を具体的にどう取り込むべきか
佐藤 私は物事を決める時に、まず両極端の案を考えるようにしてい。週休2日制で言えば、一方の考え方は、週7日のうち2日は休みとし、残った5日をどうとらえるか。雪や台風など、何らかの要因で現場に入れない日もある。5日で仕事をしようとした時に、例えばそのうちの平均7、8割を実態で実作業ができる日として組み立てるというもの。もう一方の考え方は、7日のうち実働は5日で、必ず2日休みと明確化する。まず、このどちらかを実態も踏まえながら決めなければならない。積算や施工計画を考える時に、どういう前提で週休2日を入れていくか。また天候などイレギュラーな条件をそこにどう当てはめるかということを、時間はかかるかもしれないが、発注者受注者双方には整理してもらわないといけない。ただ週休2日と言うだけでは、何も今までと変わらないということになりかねない。どういう前提なのか、まずは具体の事実を付き合わせていかなければならない。もう一つ重要な点として、契約してみたらまだ用地買収が終わっていない、設計が不十分など、すぐ現場に取りかかれない場合が結構あるので、そこをどう改善するか。今も工夫してやっているとは思うが、具体的に整理して少しずつでも直していく。
―現在、改定品確法運用指針の策定が進められているが自治体からは柔軟な運用を求める声が挙がっている。実効性担保、運用のあり方について
佐藤 国や県の大きな組織は、発注業務を監視する委員会など、チェックする仕組みが大体、できてきつつある。一方、マンパワー不足の市町村で発注事務が大変だという場合にどうするか、仕組みを構築していかなければならない。適正な手順、価格で発注できないということであれば、どこに問題があるのかを解決しながら、発注者を支援する仕組みの強化が必要。(民間事業者が発注者を支援する)CM、PM方式などを適用する必要もある。また予算の取り方の問題もある。予算の制度、仕組みで言えば、あらかじめ金額を決めて、実際に執行しようとしたら、その通りにはいかない。余裕があるのならば良いが、足りなくなって、この予算内でやってくれと受注者にしわ寄せしている場合がある。特に補助事業や交付金事業の場合に、この壁をどう突破するかというのも、残された課題だと認識している。例えば災害復旧で考えるとわかりやすい。仮に総額で50億円、1カ所1億円で50カ所という場合、工事発注は複数まとめても良いことになっている。災害査定額そのものでやれないということは多く、足りない時も、余る時もある。そのため全体50億円の中で弾力的に流用して良いことにはなっている。では全体で不足する場合にどうするか。仮に60億円かかるといった場合、制度としては再査定をすることになっているのだが、現場の実態としては、これがなかなか難しい。災害復旧工事はとても忙しいということもあり、査定額とニアイコールでやってもらうのが一番スムーズとなりがち。結果としてその金額ではできず受注者が負担していることもある。制度としては確立されている総額の変更について運用をどう直していくか。改正品確法で器はある程度できてきたが、実際には改善の積み重ねをさらにやっていかなければならない。