参院国土交通委員会(藤本祐司委員長)は3日、インフラの品質確保と建設業界の将来の担い手確保を目的にした公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)などの改正案を全会一致で可決した。公共工事の基本となる議員立法の公共工事品確法を中心に、その理念を実現するために必要な措置を政府提出の建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)で規定する仕組み。参院先議での審議、採択を経て「三位一体」の法改正が第1関門を通過したことになる。
改正案は今後、参院本会議で可決された後、衆議院に送られ、成立する運び。改正公共工事品確法は公布と同日に施行。改正業法と改正入契法は一部を除き1年以内の施行となる。
3日の参院国交委では、1日に太田昭宏国交相が業法と入契法の改正案について行った趣旨説明を踏まえた質疑が行われた。その後、公共工事品確法改正案が委員長提案の形で趣旨説明が行われ、その場で採決・可決した。
公共工事品確法の改正案は、将来にわたる公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な確保・育成のため、受注者が適正な利潤を確保できるようにすることなどを「発注者の責務」と規定。事業の特性に応じた「多様な入札契約制度の導入・活用」をうたった。
改正法成立後、今回の法改正の理念実現に向けて国と自治体が密接に連携し、発注者共通の運用指針を策定することになる。
建設業法などの改正案では、ダンピング受注防止策の強化、施工体制台帳作成・提出の義務付け拡大などを通じて建設工事の適正な契約と施工を確保する。建設業の健全な発展に向けた各種規定や、担い手の確保・育成に対する支援、さらに許可業種区分への「解体工事業」の追加、暴力団排除条項の整備なども盛り込み、公共工事品確法に明記した理念を実現する上で必要な措置を講じられるようにする。
同日の国交委では、建築基準法の改正案も全会一致で可決した。
両法案の可決に当たり、付帯決議も採択。建設業法など改正案については、公共工事設計労務単価の引き上げが1次下請以下のすべての建設労働者の賃金の支払いに確実に反映されるよう、賃金の支払い状況の把握に努めることなどを要請した。
公共工事品確法改正案の付帯決議では、予定価格の設定に当たり、経済社会情勢の変化を反映させ、公共工事に従事する人の労働環境改善、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成・確保されるための適正利潤という目的を超えて不当な引き上げが行われないよう関係機関に徹底することを求めた。