自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟の「公共工事契約適正化委員会」(野田毅委員長)が20日に開かれ、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(品確法)の改正案が了承された。委員会では、改正案の実現に向けた運用を国に求める意見が相次ぎ、国土交通省は、労務費調査の年度前半での実施による設計労務単価への実態反映や、予定価格を設定する上での積算方法の改善などを検討する方針を表明した。
改正案では、公共工事の品質を確保する担い手の中長期的な確保を基本理念に据え、その実現は発注者の責務である点を明記したほか、国が自治体などの発注者を支援するための発注手続きの運用指針を定めることなどが盛り込まれた。
基本理念を示した第3条3項では、公共工事の品質は施工技術がある者がその担い手として中長期的に育成・確保されることで将来にわたって確保されると明記。発注者の責務に関する内容を記載する第7条には、市場の実勢や施工の実態を的確に反映した積算で予定価格を定めることや、不調・不落時の見積活用方式などによる予定価格の設定、適切な工期の設定などを盛り込んでいる。
さらに、第6条で国と自治体が相互に連携して品質確保に関する施策を実施していくことを明文化した。また、自治体でも地域の実情に応じた多様な入札契約方式が導入できるよう、第22条で国が自治体など発注者を支援することを打ち出している。このため、多様な方式の選択方法や制度の適切な運用方法に関する指針を自治体や学識経験者、民間事業者などの意見を聞いて定めるとした。
改正案に対し、参加した議員からは「法律をつくってもそれを執行するのが大事」(野田委員長)など、運用に関する注文が国に寄せられた。特に、今後地方で人材不足が懸念されるとの指摘も相次ぎ、国交省の毛利信二土地・建設産業局長は「設計労務単価は昨年4月と今月引き上げたが、この水準でいいのかという見方もある。(例年の)10月の労務費調査より早くできないか考え、実態に近づけたい」と表明。賃金の変動をより的確に把握できるよう、年度前半でも10月調査と同様の方法を用いた調査を実施できないか検討する考えを示した。
また、中長期的な担い手の確保を法律で明文化することを受け、若年労働者の確保を考慮した一般管理費のさらなる引き上げなど、単価の算定方法改善を求める意見も上がった。国交省の森昌文官房技術審議官は「若年者の確保に関する現状の経費を把握した上で、どの程度の費用が必要か調査したい」と対応に乗り出す考えを示した。