佐藤信秋参院議員は29日、公共工事設計労務単価のあり方について、「今後、労務単価調査の方法そのものの変更を提案していく」考えを明らかにした。これまでの労務単価調査は、現場で作業する技能労働者を対象にしているが、新たに事業主の支払い賃金額を調査対象に加え、事業主と技能労働者双方の支払い・賃金実態を突き合わせることで、建設生産システムの実態に合わせた、労務単価設定を求めるという。常用、日給・月給、一人親方などさまざまな雇用形態が混在する建設現場で従事する技能労働者と事業主の支払い額を浮き彫りにすることで、産業と職人が継続的に維持・従事できる環境整備が目的だ。
設計労務単価は、バブル崩壊後の「失われた20年」と言われるデフレ経済下、毎年下落を続けてきた。これに歯止めをかけるべく、昨年4月から社会保険料個人負担分を含め全国平均で約15%引き上げられたほか、市場単価を早期に反映する目的で2月から設計労務単価引き上げが予定されている。
佐藤議員は、「これで2年連続労務単価が引き上げられるが、これは引き上げではなく過去の賃金に戻す過程に過ぎない。建設業界が今後健全に発展・維持し、職人が安心して働ける環境づくりには、現場の実態を踏まえた調査にする必要がある」と指摘。今後は、設計労務単価調査手法そのものの見直しを提案する考えを示した。
これまで佐藤議員は、労務単価のあり方について、議員初当選時点から、「労務単価は12分の11以下の金額(職人の年間実稼働で受け取る賃金)で年間収入を決めるもの。補正が必要」と主張し続けてきた。
現在は、相撲の関取給与を例に「本来の仕事は年間6場所(90日)。でも生活するためにはそれ以外の分も必要」とし、関取の年間給与を90日分で判断するのか、12カ月の1カ月平均で見るのかで大きな違いが出ることを強調している。