入札契約の適正化に向けた公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)の改正概要が明らかになった。中長期的な担い手の確保や将来にわたる公共工事の品質確保を法律の目的に加えるとともに、契約の当事者が下請契約も含めて適正価格で締結することや、発注者が地域の実情に応じて適切な入札方法を選択できるようにする条文案となっている。方向性案の修正版となるたたき台を来週の契約適正化委員会で提示し、2014年1月に開く委員会で改正案をまとめる予定だ。
品確法改正の方向性案は、自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟公共工事契約適正化委員会法制化プロジェクトチーム(座長・佐藤信秋参院議員)が、12日の会合で提示した。方向性案では、基本理念(第3条)の中で、適正な施工が見込めない金額での契約を締結しないとの内容を加え、発注者がダンピング受注の防止に取り組むことを求める。契約の当事者が対等な立場で契約することを求める項目(第3条第9項)では、当事者が下請契約も含めて適正価格で契約を締結し、代金を速やかに支払うとする文言を加える。
発注者の責務(第6条)では、労務資材費の高騰を念頭に置き、労務・資材の取引価格を予定価格に的確に反映するとした条文を追加するほか、発注者が調査基準価格や最低制限価格を設けるよう同条第3項で明示する。同条第5は、発注者の平準化を目的としている。同7項は、「瑕疵担保期間をもう少し考えようという意味」(佐藤座長)とした。
第13条では、多様な入札契約方法を発注者が地域の実情に応じて選択できるとし、段階選抜方式(第15条)や技術提案・交渉方式(第17条)、地域維持のための複数年度・複数工事の一括発注(第19条)などを新たな方式に加えた。
特に、技術提案・交渉方式は、「仕様決定や積算ができず、発注者が予定価格を作成できない場合や、災害時の緊急発注などの問題を念頭に置いている」(佐藤座長)。段階選抜方式についても、今後の検討課題とした。
調査・設計業務については、配置予定技術者の審査や技術提案を求め、業務の性格に応じた入札方法を選択できるようにする条文を加える。
この日の会合で脇雅史参院議員は、「地域の建設産業を健全に育成するため、工区を分割したのに全工区を1社が受注しては意味がない。競争は大事だが、1工区を取ればほかの工事に参加できないようにするなど、発注者が適正に配慮できるようにすべきだ」とした。