公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の改正を目指す自民党の法制化プロジェクトチーム(PT、座長・佐藤信秋参院議員)は12日、改正法の素案をまとめた。法律の目的に中長期的な担い手確保を明記。ダンピング受注の防止や不調・不落への対応も条文に追加する。多様な入札契約方式として、「技術提案・交渉方式」の導入に加え、「段階選抜方式」の規定も設ける。
自民PTが素案 19日たたき台
PTでの議論を基に素案に修正を加えた上で、19日に開催予定の公共工事品質確保に関する議員連盟公共工事契約適正化委員会(野田毅委員長)に改正法のたたき台を提示する。最終的な法案は年明けに再度開く会合を経て固め、議員立法として次期通常国会に提出する予定だ。
素案によると、法律の目的に中長期的な担い手の確保を明記することで、将来にわたる公共工事の品質確保を促進。品質確保の阻害要因にもなるダンピング受注を防止するため、「公共工事の適正な施工が通常見込まれない金額を請負代金とする契約の締結が防止されること」を条文に盛り込み、最低制限価格や低入札価格調査制度が的確に運用されるようにする。
工事だけでなく、点検や診断を含めた調査や設計の品質確保も視野に入れ、業務の内容に応じて必要な知識や技術を評価する。具体策として、資格制度の活用などを例示した。
不調・不落への対応にも踏み込み、再度入札を行う際は入札参加者から見積もりを徴収することで適正な予定価格を定めるなど、発注者側の対応も明記する。
多様な入札契約では、技術提案・交渉方式の導入に加え、競争参加者が多数見込まれる場合に一定の技術水準を持った業者を選抜する段階選抜方式の規定も設ける方針。
民間のノウハウを最大限活用する技術提案・交渉方式について佐藤氏は、仕様の確定が難しい大規模工事に加え、「災害対応など迅速な取り組みが必要になる場合の解決策にもなる」と指摘。素案では、第三者の意見を聞きながら技術提案の審査を行い、交渉の結果も踏まえて予定価格を定めることを明記した。