自民党の佐藤信秋参院議員は日刊建設工業新聞のインタビューに応じ、年明けからの次期通常国会に提出予定の公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)改正案について、最大の狙いは「建設業への若者の入職を促進し、継続的に担い手を育成することだ」とあらためて強調した。若い担い手の確保には建設投資の将来見通しを明示することが重要だとして、先の臨時国会で成立した国土強靭(きょうじん)化基本法に基づく防災・減災インフラ整備と担い手確保を「セットで考えたい」とも述べた。
佐藤氏は、党内で公共工事品確法の改正に向けた法制化プロジェクトチーム(PT)の座長を務めている。改正案は今週中に骨格をまとめ、来週にも公共工事確保に関する議員連盟公共工事契約適正化委員会(野田毅委民長)に報告する考えを明らかにした。改正案の国会提出については、「野党にも呼び掛け、できれば全党一致で出すのが一番良いと思っている」と述べ、与党内だけでなく、野党との調整にも意欲を示した。
法改正の最大目的と位置付ける継続的な担い手確保では、「きちんと仕事をすれば適正な利益を残せることが基本だ」と指摘した。そのためにも工事の品質確保を持続させる制度面の担保が必要だと強調。適正価格での契約が結果として下請企業を通じた技能労働者への十分な賃金の支払いにもつながるとして、「そのために発注者が果たすべき責務を明確化する」と改正案の方向を語った。
具体策としては、適正工期の設定や、ゼロ国債・ゼ口県債などを活用した発注平準化などを列挙。積雪期には工事をできない地域があることなどを考慮し、「状況に応じた工期設定方法を発注者が十分に窓識する必要がある」と柔軟な工期設定の必要性を指摘した。
さらに、工事内容などに応じて多様な入札契約方式の中から適切な方式を選択できるようにすることの重要性も言及。
「災害対応であれば特命随契もあるだろうし、地域の仕事を組合のよろな組織に頼むことも考えられる。指名競争入札が必要な場面もあるはずだ。初めて行うような工事で積算も十分にできない場合などは、交渉方式を取り入れることもあるだろう」と述べた。
多様な方式の導入では地方自治体に対する支援の必要性も指摘し、「(自治体職員の)研修機会を増やすなど、国が関与していくことになる」と国の役割の重要性が増すとの見方を示した。
若者の入職促進では、公共工事設計労務単価の在り方にも触れ、「これまで下がり続けてきた分を戻していかなげればならない」と13年度の単価大幅引き上げに続くさらなる上積みが必要との認識を示した。
建設投資の長期見通しに関しては、「景気低迷下であまりにも長く公共投資の削減が続いてしまった」とこれまで続いてきた公共事業予算の削減を問題視した上で、「業界がデフレスパイラルによって、『貧すれば鈍する』となっている現状を逆回転させたい」と強調。今後の公共事業予算確保の根拠として、国や自治体が取り組む国土強靭化基本法に基づく計画づくりの重要性を訴えた。