自民党公共工事品質確保に関する議員連盟の公共工事契約適正化委員会(野田毅委員長)は29日、東京・永田町の党本部で会合を開き、国土交通省から多様な入札契約制度の検討に着手したとの報告を受けた。同省の佐々木基土地・建設産業局長は、インフラメンテナンスや災害対応で地域の建設産業が果たす役割に言及。発注者の責務として中長期的な担い手を確保するために「公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に何らかの手を付けることもあるかもしれない」と述べた。
野田委員長は冒頭、「国交省で入札契約制度のあり方について検討を始めたと聞いている。設計労務単価の改善策などにも手を付けていただいているが、よりしっかりとした形となるように議論していきたい」と述べた。
国交省の取り組み状況を説明した佐々木局長は、省内委員会で「6月中〜下旬に方向性を出し、その後具体的な手続きに向けて審議会の議論に入っていくことになる」との見通しをあらためて表明。その上で検討に当たっての理念や考え方を示した。その中でダンピング対策にも触れ、「(行き過ぎた価格競争の結果)予定価格がデフレスパイラルになっていることが懸念される。市場価格を反映したあり方を考える必要があるのではないか」と指摘した。また、入札手続きの中で、「段階的に業者を絞り込んでいくことができるかどうかも考えていきたい」と多段階選定の制度化にも言及した。
技術者や技能者の確保・育成の観点では、人材育成に取り組む企業のインセンティブとなるような仕組みの必要性も指摘。除草作業や舗装の打ち変えといった小規模工事から橋梁やトンネルなどの構造物を造る大規模工事まで幅広い事業がある中で柔軟な入札契約のあり方が課題になるとの見方を示した。
一連の説明に対して委員会のメンバーからは、「地域の建設業者が受注できるよう指名競争入札へ体制を変えるべきだ」「地域を支える建設業者を維持する方策を考えてほしい」「資材価格がデフレスパイラルを続けている状態を何とかしてほしい」「入札契約制度を考える上で小さな町村をフォローできるような体制を考えてほしい」といった意見が出た。