公共工事の低入札価格調査制度で、調査基準額の算定式にある一般管理費の割合(係数)を引き上げる動きが国土交通省を皮切りに拡大する。総務、国交両省は都道府県・政令市に国交省の引き上げを踏まえた見直しを要請する通知を16日付で行った。農林水産省は既に国交省と同様の引き上げを実施。16日以降に入札公告を行う工事から適用するよう省内各部局(内局)や林野庁、水産庁といった外局すべてに通達を出した。
今回の見直しでは、調査基準価格の算定式のうち一般管理費の係数を従来の30%から55%に高めた。これにより調査基準価格は平均で予定価格の86%から88%に上がるという。国交省は16日に運用を開始。国の発注機関が参加する中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)の算定式モデルも同様の見直しが16日付で行われた。
都道府県・政令市への通知は総務省自治行政局長と国交省土地・建設産業局長の連名で行われた。国交省は今後、通知を踏まえた各自治体の対応状況を調査する予定だ。併せて関連業界団体にも見直し実施を通知した。
調査基準価格の算定式に中央公契連モデルを採用している都道府県は多く、モデル採用団体とモデルの水準以上の独自算定式を使用している団体は計44団体に上る。
農水省はこれまで国交省と同様、予定価格を構成する直接工事費の95%、共通仮設費の90%、現場管理費の80%、一般管理費等の30%を合算した額に消費税分を上乗せし、予定価格の70〜90%の範囲で調査基準価格を設定してきた。見直しにより調査基準価格は予定価格の85〜86%から2〜3%上昇するとみている。