国土交通省が踏み切った「低入札価格調査基準価格」の引き上げに、建設業界から歓迎の声が相次いでいる。「本・支店社員給与も含まれていないこと自体おかしい」との声が昨年、一気に高まっていたことが背景にある。
予算と予決令に直結することで財務省との調整も必要な設計労務単価と調査基準価格の引き上げに国交省が動いたのは、経済再生のため地方経済や主要産業に対する目配りを重視する安倍政権発足と政治判断を受けたことも大きい。
ただ、予決令に拘束される調査基準価格の引き上げは、品質確保が判断基準の大前提で、一般管理費率55%は限界に近い。「品質確保と(さらなる引き上げへ)本社役員の賞与などの関係を示す根拠を探すのは無理」(国交省幹部) なことが理由だ。
健全な建設産業維持へ向けた”政策カード”を2枚切った国交省に対し、今後業界は回答を示す立場に立ったとも言える。
安定経営を維持 淺沼全建会長
全国建設業協会の浅沼健一会長は15日、低入札価格調査基準価格引き上げに対するコメントを公表した。引き上げが適正な受注活動を促進するものとした上で、「企業の安定的な経営の維持にするもので、大いに歓迎し、感謝する」とした。
適正受注を徹底 中村建連会長
日本建設業連合会の中村満義会長は15日、低入札価格調査基準価格引き上げについてコメントを表明した。
中村会長は「今般の見直し一は、適正な受注活動を促進するものであり、日建連としても大いに歓迎するとともに、国土交通省に感謝の意を表したい」とした。
また、「適正な受注活動の徹底などを通じ、工事品質の確保や技能労働者への適切な賃金水準の確保に取り組み、健全な発展を目指したい」と、適正な受注活動を徹底する決意を改めて示した。