公共調達新法の制定を白指す自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」の公共工事契約適正化委員会(野田殺委員長)は、法案を政府が国会に提出する「閣法」での検討作業と並行し、国会議員が提出する議員立法での検討も始める。国土交通、総務、財務などの関係省で作る法案と、議員側で作る法案の内容をすり合わせて一本化する。公共調達新法と連覇し、国が発注する1憶円以下の工事を地元中小建設業者に受注させる新法案も併せて検討する。
公共調達新法は、法律の目的として、公共工事の適正価格に加え、地域の建設産業の健全な存続への配慮を規定することが柱。同委員会は建設業界団体や自治体からの意見聴取などを行っており、閣法での制定を基本に動いてきた。
10日に党本部で開かれた会合では、閣法としての検討作業とは別に、議員立法としての法案作成を進める方針が報告された。議員側の視点を重視した法案を作り、閣法による法案の内容を加味するのが狙いだ。閣法による法案が整わない場合などの代替策としての役割も想定している。閣法の法案のたたき台は、4月下旬に開く次回会合で国交省が提示する予定だ。
一方、国が発注する1億円以下の工事を地元中小建設業者に受注させる新法案は、同委員会の顧問を務める衛勝征士郎衆院議員が発案。既に党国土交通部会の西村明宏部会長にも法案の趣旨を説明したという。今後は各会派の了承を経て、今国会への提出を目指して法案内容の検討を進める。
現在、国などが工事を発注する場合には、中小企業者の受注機会の確保に努めることを規定した官公需法があるが、「適切な地域要件の設定」といった規定があるだけで、どの程度の規模の工事を中小業者に発注するといった具体的な規定があるわけではない。
検討する新法案では、災害時の応急対応や、インフラの維持管理・更新などで地域住民の安全・安心や経済活動などを支えている地元建設産業の存続を目的にする。1億円以下の小規模工事を地元の市町村に本店を構える地域の中小建設業者に発注することなどを規定する考えだ。