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2013/4/12(金)
新聞記事
平成25年4月12日 建設通信新聞




公共工事契約新法
自民議連・適正化委幹部が表明
会計法などで「横出し」新法
省庁見解と法解釈も焦点






公共工事契約の新法制定を視野に議論を進めている、自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟の「公共工事契約適正化委員会」(野田毅委員長)が、新法の性格を会計法と地方自治法の「横出し」にすることを念頭に置いていることが分かった。10日に開いた委員会後、事務局長の脇雅史参院国対委員長と、顧問の金子一義議員が答えた。新法へ向け野田委員長は、5月に一定の結論を示す考えを既に表明。今後、自民委員会では、会計法、地方自治法を改正せず、公共工事調達に限定した「横出し法」の実現については、法制局の法解釈も焦点になりそうだ。

脇、金子両議員が指摘した「横出し」とは、基本法など既存法令を生かしながら、既存法令のうち特定部分の内容をさらに細かく規定する考え。国の環境規制法を元に、自治体がさらに細かい環境条例で規制項目を追加する、環境規制が「横出し」の代表例。

脇議員は横出し法を可能にするための理由として「品確法(公共工事品質確保促進法)を担保する」ことを挙げた。

また金子議員も、法律を改正せずに、政省令や条例を変更し条例内容が法律よりも優先される「法令上書き」と、今回検討している新法が違うことを承知の上で、「新法(横出し法)は会計法や地方自治法の上書きだ」と横出し法の特徴を強調した。

横出し法の位置付けにすれば、独立した法律で必要不可欠になる、会計法など関係法令の本格的な改正などが必要なくなるメリットもある。

自民の公共工事契約適正化委員会は、「建設産業は、過当競争によって経営だけでなく、後継者・技術者・担い手が育たない環境に陥っており、社会資本の維持すら危うい。発想を変え、公共事業の発注適正化をさまざまな角度から検証しなければならない」(野田委員長)として、税調幹部や元副総裁、派閥会長、大臣経験者など党重鎮や要職者をメンバーに加え、1月に発足した。これまでに関係省庁や建設業界団体、地方自治体首長らからヒアリングを重ねてきた。その過程で、自民議員からの会計法や予定価格の根拠となる予算決算及び会計令(予決令)に対する問題提起に、財務省は「会計法の性格は予算の適正執行が目的で基本法が望ましい。(改正して細かく規定を)法律に書き込むと柔軟性にかける」とやんわりと会計法・予決令改正を拒否していた。

脇、金子両議員が公共調達の基本法の性格を持つ会計法や地方自治法は改正せず、公共工事の設計・工事契約に特化して、今後の社会資本整備や維持・修繕、災害対応、地域経済活性化などを理由に、公共工事契約の規定を、会計法や地方自治法の「横出し法」として念頭に置いているのは、こうした財務省見解が背景にあるとみられる。

自民のこうした動きを踏まえ、財務省や国土交通省など関係省庁は大臣の指示を受け、公共調達の課題検討の議論を開始。脇事務局長は10日の会合に出席した省庁に対し、次回会合で省庁議論の結果を示すよう指示した。