自民党公共工事晶質確保に関する議員連盟の「公共工事契約適正化委員会」(野田毅委員長)は10日、全国知事会、全国市長会、全国町村会から入札契約制度などをヒアリングした。同委員会の脇雅史事務局長は、「地元建設業界が大事だという思いは共通だろうが、実際に(政策として)表れているのは少ない。胸を張ってできるようにしなければならない」と、地方自治体にも影響力のある形で公共調達のあり方を考える必要性を訴えた。
委員会では、保岡興治衆院議員が「脇事務局長から、今の公共調達のあり方を根幹から考え直すという委員会の趣旨を聞いた」とした上で、国土交通、財務、総務の3省が公共工事の入札契約適正化に向けた方策を探るための実務者ワーキングチーム(WT)を立ち上げて検討していることを念頭に、「衆議院の法制局にも問題点を示し、考え方などの検討を依頼した。その検討も加味して政府の考え方と付き合わせて、答えを求めたい」との考えを示した。
自治体へのヒアリングでは、全国知事会として大分県の小風茂副知事、全国市長会の朝長則男佐世保市長、全国町村会の渡邊廣吉新潟県聖寵町長が、各県市町の入札契約制度や建設業の重要性などを説明した。
小風副知事は、低入乱調査基準価格の対象となっている1億円以上の工事の平均落札率が8割を切り、県内業者が落札する割合が3割強程度となっている一方で、最低制限価格を採用している4000万円から1億円未満の工事では落札率が9割を超え、県内業者が落札する割合も9割を超えているとした。大分県が予定価格を事前公表していることに対し、「弊害があるが、なぜ続げているのか」との質問が上がり、「事前公表をしてから、さまざまな疑惑を招いていないため、継続している」とし、「最低制限の価格に入札価格が張り付き、下限を上げれば、落札率も上がる」とした。これに対し、金子一義衆院議員は「疑惑を招くということではなく、地場の地域力をどう確保するかが問題だ」と再検討を求めた。
脇事務局長は、自治体発注工事のほとんどが対象となる3000万円未満の工事で原則的に指名競争入札を採用し、予定価格事後公表や地元企棄への配慮を導入していることを念頭に「こうした制度を胸を張ってできるようにしなければならない」とした。