国土交通省は、13年4月1日以降に契約する直轄工事のうち、12年度の公共工事設計労務単価(旧単価)で予定価格を積算した工事を対象に、13年度の設計労務単価(新単価)を適用する特例措置を講じる。旧単価を使って12年度内に入札が行われた工事でも、受・発注者間の請負契約の締結日が4月1日以降になった場合には受注者からの要請によって新単価を適用した請負金額に変更できるとした。
受注者要請で請負額変更
国交省は8日付で地方整備局などに通知。都道府県と建設業界にも周知した。
公共工事設計労務単価は、労務費調査のデータに基づき、国交省と農林水産省が公共工事の積算に用いる労務単価として、毎年度末に次年度単価を設定・公表している。
13年度の単価は3月29日に発表され、震災復興の本格化などに伴う人手不足を反映し、全51職種の単純平均値は12年度比で15.1%上昇(加重平均値は16.1%上昇)と大幅な引き上げとなった。建設業界などからは、急激な労務費上昇を踏まえ、特に2月中旬以降に発注される12年度の補正予算に基づく工事などについて、13年度の新単価を適用するよう求める声も出ていた。こうした状況を考慮し、国交省は新旧単価の特例措置を講じる。
前年度(旧単価)と新年度(新単価)の労務単価の切り替え時期は通常、入札日を境とし、前年度の3月31日までに入札日を終えた案件は前年度単価(旧単価)、入札日が4月1日以降の案件は新年度単価(新単価)をそれぞれ適用している。
今回の特例では、新旧単価の切り替え時期を入札日から請負契約日に移行。12年度内に旧単価で積算した予定価格で入札が行われ、落札者決定を通知した後の工事であっても、受・発注者間で契約を結んでいない場合には、あらためて新単価を使って予定価格を積算し直し、これに落札率を乗じた金額(請負金額)に変更できるとした。通常は開札から契約に至るまでには1週間程度がかかるという。
新単価による請負金額の変更は受注者からの変更届けに基づき実施する。受注者からの請負金額変更の請求期限については地方整備局などが設定する。国交省は変更対象となる工事を600件程度と想定している。
国交省の試算によると、旧単価から新単価に切り替えて積算し直した場合、当初契約予定額(請負金額)から5%程度の上積みになる見込みだ。
国交省は8日付で、都道府県などに特例措置の実施と合わせ、4月1日以降に入札手続きを行う工事に13年度単価を速やかに適用するよう要請。建設業団体にが会員企業に対して特例措置の周知と、元請と下請間で既に締結している請負契約金額の見直しなどを求めた。