自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」の公共工事契約適正化委員会(野田毅委員長)が2日に党本部で開いた会合で、12年度のうちに前倒し契約したゼロ国債事業や維持管理業務にも、13年度の公共工事設計労務単価を適用するよう求める声が出席議員から上がった。
ゼロ国債事業などは、事業の執行は本年度になるが契約は前年度に行われているので前年度の設計労務単価が適用されている。13年度の設計労務単価は政策的配慮などもあって前年度に比べて15.1%上昇(全職種全国単純平均)しており、新単価の適用が必要との意見が多く出された。
13年度の設計労務単価は、震災復興需要などによる技能労働者不足に伴う実勢単価の上昇を反映。さらに社会保険加入を徹底するため法定福利費相当額を盛り込んだことなどによって過去最高の上昇率となった。
前年度契約案件への新単価反映を求める意見に対し、同委員会事務局長の脇雅史参院国対委員長は「契約してしまっているもの(の労務単価)を上げることは現実的にはなかなか難しい。しかし、これからのこともあるので考えてもらわないといけない」と指摘。出席した国土交通省の深津淳志官房技術審議官は「趣旨はよく分かるが、現在のルールでは慨に契約しているものは対象にならない」とする一方、「これからどうするか、いろいろと相談しないといけない大きな課題」との認識も示した。
同日の会合では、設計労務単価の上昇について「大幅に改善したことはありがたい」(全国建設業協会の淺沼健一会長) と歓迎の声も上がった。金子一義衆院議員(元国交相)は「地方の中小建設業界にとってとても明るいニュース」とした上で、「地域を守る建設業者を維持する上で本当にありがたいが、まだまだ第一歩」と引き続き改善を図るよう求めた。新単価を地方自治体などにも周知徹底するよう求める意見も出た。