自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」の公共工事契約適正化委員会(野田毅委員長)は2日、全国建設業協会(全建)と日本建設業連合会(日建連)にヒアリングを実施した。両団体は公共調達新法の制定に向けた業界としての要望を行い、全建の淺沼健一会長は地域建設業存続には予定価格の上限拘束性撤廃を視野に入れた法制度が必要だと指摘。日建連の大田弘土木本部副本部長は多様な入札契約制度の導入や発注者のルール共通化を求めた。
冒頭、野田委員長は「現状についてつぶさに説明を伺い、これからの作業の参考にしたい」とあいさつした。
淺沼全建会長は「地域建設業の衰退で地域の安全・安心が危ぶまれる予断を許さない状況だ。(12年度)補正予算と(13年度)予算で(工事)量の問題は改善するが、質である賃金と利益率に問題がある」と指摘。「総合評価方式の技術提案で長寿命化や高品質を求めながら、入札価格が予定価格を1円でも上回ると許されないのは矛盾している」と述べ、「予定価格の上限拘束性撤廃を視野に入れた公共調達の基本を定める抜本的な法改正が必要だ」と強く訴えた。
さらに、適正利潤の確保などには緊急の対応も必要だとの認識を示し、「予決令(予算決算及び会計令)の運用などで早急の改善をお願いしたい」と要望。具体的には、建設従事者が誇りを持てるような設計労務単価の設定や、ダンピング対策の徹底として、低入札価格調査基準価格と最低制限価格の引き上げなども求めた。
大田日建連副本部長は「長年、会計法や地方自治法による『予定価格制度』や『一般競争入札原則』をベースにしてきたが、これが問題を引き起こしている」と指摘した。
さらに「国が発注する重要インフラと地方自治体などのインフラが接続するケースがあるが、落札率が大きく異なっている。広く重要なインフラは、調達を共有する一貫したルールも必要ではないか」と提案。そのために「根本の部分を見直す新法を制定していただきたい」と訴えた。
委員会メンバーの脇雅史参院国対委員長は「(現在の発注者は)安い方が良いという法律に守られている。これを直さない限り建設業の将来はない」と新法制定の必要性をあらためて強調した。
会合には国土交通省の担当者も出席し、設計労務単価に関する説明を行った。