国土交通省は、3月29日に13年度の「公共工事設計労務単価」を公表したのに合わせ、技能労働者の賃金を引き上げるよう建設業団体や公共・民間発注者に要請する通知を同日付で出した。法定福利賀相当額(社会保険料の労働者負担分と企業負担分)を合む価格での工事発注や代金支払いを行うことを強く求めている。国交省が技能労働者の賃金引き上げを要請したのは初めて。
通知文では、建設投資の減少によってダンピング受注が激化。そのしわ寄せが技能労働者の賃金低下や社会保険料の未払いを招き、若者の入職離れを含め建設産業からの人材流出につながっているとあらためて指摘。これによる労働需給のひっ迫は一時的なものではなく、今対策を講じなければ近い将来、災害対応やインフラの維持更新にも支障を来す恐れがあるとして、デフレ脱却のためにも労働者の所得を増やす取り組みを推進するよう訴えた。
具体的には、建設業団体向けには、元請に対してダンピング受注の排除、法定福利費相当額を含む適切な価格での下請契約の締結と雇用する技能労働者の賃金水準の引き上げを求めた。下請に対しては技能労働者に法定福利費相当額を含んだ賃金を支払い、労働者を社会保険に加入させるよう要請。賃金引き上げと社会保険の加入によって若年入職者を積極的に確保するよう求めた。
公共発注者向けには、13年度公共工事設計労務単価の早期適用と、ダンピング受注の排除に向けた低入札価格調査制度と最低制限価格制度の適切な活用、法定福利費の適切な支払いと社会保険への加入徹底に慢する指導を行うよう要請した。
民間発注者向けには、労務費の上昇傾向を踏まえ、社会保険料相当額を適切に合んだ額による工事発注を求めた。