民主党の「新たな戦略的国土地域政策を推進する議員連盟」(会長・伴野豊衆議院議員)が5月31日に開いた会合で、藤井聡京大大学院教授が「救国のレジリエンス―列島強靭化でGDP900兆円の日本が生まれる」と題して講演した。防災・減災のための社会資本整備について、藤井教授は「地方分権ではなく、地方分散が必要」とし、中央集権体制で地方整備局が各地域で政府の政策を実行する現在の出先機関の重要性を説いた。
藤井教授は、大規模地震の連動に備え、200兆円規模の財政出動による列島強靭化が必要とし、日本海側や、関西、四国、九州での新幹線の整備などの必要性を強調した。財源などについては、「銀行が預金を企業などに貸し出しせずにだぶついている預金超過額が166兆円を使うべきだ。また、建設国債の発行と同時に、日本銀行が国債買取オペレーションをかけ、金利上昇を抑制して財源を確保すべきだ」と主張した。
その上で、「防災・減災害のためには、地方分権ではなく、地方分散が必要だ。地方整備局は、人口の論理ではなく、面積や歴史的経緯で配置されている。こうした出先機関体制での中央集権ではなく、広域連合にすると、人口が重視だれ、東京や大阪だけが強くなり、地域間格差が拡大する。中央集権体制での地方分散化が強靭化には重要でそのためには、『分権』は御法度だ」と現在の地域主権改革の流れをいさめた。
さらに、国土強靭化のために必要な公共事業の実行に理解を求めるためには、「個別の地域の整備新幹線整備といった話になると、整備される地域が喜ぶだけで、ほかの地域からは『それなら社会保障を充実してほしい』といった話になる。個別の議論ではなく、国土全体での問題として議論すべきだ」とした。これに対し伴野会長は「公共事業はいま、イメージが悪い。だから『次世代投資事業』という言葉で打ち出していきたい」とした。