佐藤信秋参議院議員は20日、日本建設業連合会が支部長会議前に開いた講演会で、予定価格の上限拘束性撤廃を視野に入れた公共調達改革の法案に触れ、「閣法でできないのであれば、議員立法で提出する」と述べ、その実現に改めて強い決意を示した。
佐藤議員は、「国土の強靭(きょうじん)化に向けて」と題した講演の中で、東日本大震災の復旧・復興に触れ、「除染」と「集団移転」の2つを難題として指摘し、放射線の除染については、「単に校庭の汚染土をはぎ取っても除染にはならないし、大量の汚染土を仮置きする場所が必要」と説明。
「住宅の場合、高圧洗浄で除染しているが、瓦は除染できないし、洗った水が下水に流れ、その凝縮したものが泥としてたまるし、河川にも流れる」とも述べ、除染に対する日建連会員の技術力に期待を寄せた。その上で、「環境省、県、市町村は、過去に経験がないため、除染の予定価格はつくれない。だからこそ、予定価格の上限拘束性を撤廃しなければならない」と強調。応急復旧工事にも言及し、「予定価格の積算ができず、本復旧に入れない状況が一部であり、予定価格を標準価格帯として契約できるようにすべき」と訴えた。
集団移転では、「被災地は、住民による集団移転の意向がまとまらないことと、集団移転の適地がないことの2つで困っている」とし、「敵地探しの問題も含めて(日建連会員の)皆さんの力が必要になる」と協力を求めた。
公共調達の適正化に当たっては、「適正な利益を得られ、技術と経営に優れた企業が受注できる環境づくりが必要」と述べ、二段階選抜や労務費調査の見直し、公共調達制度の再構築などを掲げ、「予定価格は標準価格であり、90〜110%の幅があってもおかしくないし、その範囲で契約できるようにしたい」と強調した。