公共調達を適正化するための新法制定を目指す超党派国会議員による「公共調達適正化研究会」は、15日に東京都内で開いた5回目の会合で、土木学会と、国際建設技術協会(国建協)や海外建設協会(海建協)、東光コンサルタンツから入札契約制度についての意見を聞いた。土木学会は「公共事業調達法」の制定などを柱とした提言を3月中にまとめる方針を表明。国建協などは、制度改革の参考として、契約上限額を予算執行可能額で決める米国の入札契約制度などについて解説した。
土木学会からは、建設マネジメント委員会の小澤一雅東大大学院工学系研究科教授が出席し、日本の公共調達制度の歴史を振り返りながら現状と課題を説明。制度改革に当たっては、会計法の改正だけでは対応が難しい点があるとして、建設マネジメント委の公共事業改革プロジェクト小委員会で公共事業調達法の制定などを柱とした提言を3月中にまとめる考えを示した。4〜5月に公表する予定という。
公共事業調達法は、費用に対する価値(VFM)の高い公共調達を実現するため、事業マネジメントの概念を導入することを目的に制定するとしている。具体的には、事業の特性に応じた契約方式を選択可能にし、複数年度予算を活用した事業マネジメントや、予定価格制度から事業予算の管理への転換、企業の選定方式の多様化と技術競争の導入などを盛り込むという。
国建協などからは、東光コンサルタンツの埜本信一最高顧問らが米国と英国などの公共入札契約制度を紹介した。米国では価格競争入札が一般的だが、工事内容が入札図書で確定できない場合などには総合評価方式を併用。総合評価方式の場合、概略提案と概略価格で入札適格者を4〜6社に絞り込んだ上で、入札適格者のみで入札している状況を解説した。さらに発注者が見積もる契約上限額については、日本のような予定価格は制度上なく、可能予算内(発注者見積りの120%程度)で行っていることも強調した。
同研究会は24日に公正取引委員会、会計検査院、国土交通省からも意見を聞く。